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更新日:2013年2月1日

広報ななお:平成24年2月号 2・3ページ

 『能登の里山里海』世界農業遺産認定 特別対談 『世界農業遺産』を改めて考える

世界農業遺産の認定を受けることが目的ではなく、ここからがはじまりです。しかし、私たち一人一人は何を考え、何をしなければならないのでしょうか。世界農業遺産認定の意義や価値とは何か。

能登の里山や里海の価値に以前から注目し、今回の認定に深くかかわった金沢大学学長補佐の中村浩二教授と武元七尾市長の対談から、認定の意義を考えます。

認定をバネに里山里海の再生を 金沢大学学長補佐 中村 浩二氏

【プロフィール】

昭和22年兵庫県生まれ。金沢大学教授、学長補佐、環日本海域環境研究センター長。専門は生態学。「能登里山マイスター」養成プログラムなどの代表を務める。著書『人間活動の影響下にある生態系の応用景観生態学―人間生態系と自然生態系の結合』(共著、英文)など多数。

「能登の里山里海」は宝物 市民ぐるみで取り組みを 七尾市長 武元 文平

―認定された率直な感想は―

(中村)

能登半島が世界農業遺産に認定されたことは、私にとってある意味当然のことでした。以前から能登半島の里山里海の素晴らしさを確信していたからです。日本国内では、世界農業遺産(ジアス)は、あまり知られてはいませんでしたが、国際的権威のある重要なタイトルです。

能登に住む人も能登の良さを誇りに思いながら、最近の過疎化、高齢化などで、やや弱気になりかけていたように思います。そこに、耳慣れぬ世界農業遺産に認定され、戸惑われているのかもしれません。能登の価値がしっかり評価され、認定を心からうれしく思っています。

(武元)

私自身も、世界農業遺産とはどういうことなのか、というところからスタートしました。関係者の皆さんからいろいろなご指導をいただき、改めて世界農業遺産というものが素晴らしいものであり、高い評価をいただき本当にうれしく思っています。

正直なところ、はじめは「能登の里山里海」がそれほどまで世界的に大事な地域であり、いろいろなものを含んだ宝物がある地域だとは認識していなかったのですが、認定という形で改めて評価されたことをとてもうれしく思っています。

―世界農業遺産の意義と価値―

(中村)

一番大きな意義は能登で行われている農業の価値が認められたことです。能登では、長年にわたり、農業が続けられたことにより、美しい景観を持つ里山がつくりあげられました。集落は長い歴史と文化を持っており、能登の里山は、日本の里山の代表といえます。能登の里山で農業が続けられていることが重要です。里山というのは、農業、林業などの人の活動によって、長年のうちにつくりり上げられた土地の利用の仕方です。日本各地の風土に応じて、里山のあり方も違いますが、持続的に農業が行われ、文化がつくられてきた点は共通です。私たちは里山の重要性をずっと主張してきました。平成20年に谷本石川県知事は、ドイツで石川の里山を国際的にアピールされました。COP10(コップテン、生物多様性条約第10回締約国会議。平成22年、名古屋で開催)では、「国際里山イニシアティブ」が発足し、日本の里山が国際的に認知されました。そのころから能登の里山は、国際的に注目されていたのです。もう一つ大事なことがあります。能登には里山だけではなく里海があることです。七尾にも里山と里海が両方あります。その両方が、今回評価されたことは能登の素晴らしい特色です。

(武元)

能登はこれまでも人口が減り、過疎化・少子高齢化が進んでいます。今後、限界集落が増えていくことが予想される中で、この地域をどのようにして持続可能な形にしていくかが大きな課題です。世界農業遺産に認定されたということで、改めて能登には素晴らしい資源、宝物があると認められましたので、過疎化・少子高齢化に歯止めをかけるきっかけになればと思います。

―『能登の里山里海』の魅力―

(中村)
確かに人口が減って少子高齢化が進んでいるという現状はあります。ただ、そんな中にあっても集落が維持され、農業を営み、キリコ祭りに代表されるような伝統的な儀礼がしっかりと残っています。私のような「よそ者(神戸市出身)」から見ると、能登の風景や風土は本当に素晴らしいです。黒瓦の立派な家が立ち並び、海辺の眺めも見飽きません。農林水産業などの生業(なりわい)により磨き上げられた里山里海の「自然」と、そこに住む人の「社会・文化・伝統」の両方が調和していることが大きな魅力です。人口が減りこれからどうするかといったときに、世界農業遺産に認定されたわけです。この意義をよく考えて、バネにしてほしいと願います。

(武元)

能登というのは三方(または四方)が海に囲まれていて、山・田園・川・海が一体なものとして循環型社会がつくられています。そこには単に生物多様性があるということだけではなく、生業としての農業や水産業が1,000年以上にもわたり存在してきました。それらが今なお続いていることが大きな魅力だと思います。われわれは、それらをこれ以上荒廃させないように、また変えないようにやっていかなければならない責任があると思っています。今回の世界農業遺産認定を契機に、これまで以上にしっかりと取り組んでいきます。

 

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