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更新日:2013年2月1日

広報ななお:平成24年2月号 4・5ページ

「世界農業遺産」を改めて考える

~インタビュー 私の視点・私の想い~

 里山 里山をもっと身近に感じてほしい

能登里山マイスター 能登薪人(まきびと)の会 代表 (株)スギヨ 農業事業担当課長 川上 和孝(かわかみ かずたか)さん(40歳)

平成19年に農業分野のスギヨファームが立ち上がったことがきっかけで、農業と林業に出会いました。金沢大学の「能登里山マイスター」養成プログラムの第1期生として参加し、身近な里山が荒れていることを身をもって感じました。そこで薪ストーブに興味を持ち(新築した自宅にも薪ストーブを設置)、薪を集めることが想像以上に大変なことも知りました。私たちは間伐林を整備し、薪を会員へ配ります。活動は単なるボランティアではなく、実益(自分たちが使う薪を確保)があるので継続できている気がします。メンバーは当初4~5人でしたが、16人に増えました。子どもも参加し、大自然の中で生き生きとした表情を見せてくれます。今後はイベントを企画し、気軽に森とふれ合える機会を増やしたいと思っています。山(森)は近くて遠い存在かもしれませんが、知ることで興味が生まれます。それがみんなで里山を守ることにつながると信じています。

 地域 「生き残れる地域」「選ばれる地域」に

釶打(なたうち)ふるさとづくり協議会 会長 唐川 明史(からかわ あきふみ)さん(65歳)

中山間地のため小規模で高齢農家が多い地域です。雇用の場がなく、地域で所得を生み出すしくみを考えています。棚田で作る米を「釶打米」としてブランド化し好評を得ています。米以外でもタケノコやミョウガなど、地域で採れるものを加工品として販売し、住民の体力や能力に応じた仕事を担うことで収入の確保に努めています。また、高齢者が安心して暮らせるよう、NPO法人を立ち上げて送迎サービスも行っています。身近に地域資源はたくさん眠っています。ただ、それが見えなかったり、見る目がなかったりするのではないでしょうか。私たちの地域では大学とのつながりを取り入れています。大学は優秀な人材や情報をたくさん持っており、それを引き出すことで地域にとって大きな力となります。「生き残れる地域」「選ばれる地域」として、時代のニーズに対応できる受け皿づくりを、地域住民が一体となって行わなければならないと思っています。

 生物 身近な生き物に目を向けて

(財)日本鳥類保護連盟石川県支部 支部長 時国 公政(ときくに こうせい)さん(70歳)

まず能登そして七尾が恵まれた地域であることを認識しましょう。トキの仲間には「トキ、クロトキ、クロツラヘラサギ、ヘラサギ、ナベコウ」と5種類います。七尾にはこのうち4種類が飛来し、日本全国でも珍しいことです。中でも絶滅危惧種のクロツラヘラサギが20年ほど前に田鶴浜で2年続けて巣作りをした時は世界的にも注目されました。実績があるということは今後の可能性もあるということで、大きな意味があります。いろいろな調査で、ここ5~10年で能登の環境破壊が進んでいることがわかっています。開発(工事)や間伐自体が悪いわけではありません。やり方(規模や時季)が問題なのです。自然界で生かされている私たち人間が勝手に生態系を壊すことは許されません。能登には恵まれた自然があり、自然には筋書きのないドラマがあります。能登の将来のためにそれらを活かすことは大きな価値があります。まずは身近な生き物に目を向け、守ることからはじめましょう。

 農業 「レンゲ米」で安心安全をPR

温井営農組合 代表理事 酒井 稔(さかい みのる)さん(58歳)

高齢化が著しく後継者不足は悩みです。ただ、住民は農地を守る意識が強く、これまでも資本(設備)を投入しながら集落営農を進めてきました。環境保全や安心安全に対する消費者の意識は年々高まっており、商品として買ってもらう以上、私たちもその意識は強く持っています。5年ほど前からエコに取り組み、昨年『エコ農家』として県の認定を受けました。私たちが今取り組んでいるのは、化学肥料や農薬を5割以上減らし、水田で栽培したレンゲ草をそのまま養分にするという環境保全型農業です。レンゲ草は見た目にもきれいで景観保全につながり、収穫した米を「レンゲ米」として安心安全な商品としてPRすることもできます。農業を取り巻く環境は厳しいものがありますが、自分たちの地域を自分たちで守り、先人から受け継いだ農業をこれからも安定して維持していけるよう、広い視野を持ってやっていきたいと思います。

 里海 能登の海の知られざる魅力を伝えたい

能登島ダイビングリゾート 須原 水紀(すはら みずき)さん(35歳)

七尾の海の一番の特徴は「藻(海草)」です。住民はいつも海がそばにあるので、魅力を感じにくいかもしれませんが、海へ潜る人たちの間では高く評価されています。海が荒れる冬でも潜れるという点も大きな魅力です。魚たちは求愛や産卵のために、深い富山湾から浅い七尾湾へと、特有の自然条件(=藻)を求めて集まってきます。能登の里海の魅力をより多くの人に知ってもらうことで注目を浴び、たくさんの人が七尾に集まります。活動に賛同する人が増えれば、環境保護の意識も高まります。まずは写真展や講演会などを行い、市民が海とふれる機会を多くしたいと思います。まだまだ皆さんが知らない能登の里海の魅力はたくさんあります。今あるものだけではなくこれから残していけるものの価値、人と海とのかかわり方を考える良い機会です。この環境を残していけるのは地元に住む私たちだけです。将来に向けた取り組みを一歩ずつ進めましょう。

 習俗 先人から受け継いだ「奇祭」を守りたい

日室の鎌祭り保存会

  • 会長 坂口 敏夫(さかぐち としお)さん(70歳)
  • 事務局長 久保 雅博(くぼ まさひろ)さん(63歳)

日室の鎌祭り(正式名称:能登の諏訪祭りの鎌打ち神事)は、毎年8月27日に行われる風鎮祭です。神事に続いて、境内にあるタブの木に雌雄2個の鎌を打ち込むことから「鎌祭り」と呼ばれています。鎌祭りは全国的にも珍しい行事で、平成4年に石川県無形民俗文化財に指定されました。ただ、実際に日室に住んでいる人は2軒(3人)の高齢者だけ。集落の維持すらできない状況です。もちろん神事を行うこともできません。保存会として神事を続けている私たちでさえも、水田や畑の管理はしているものの、市内の別の地に家を構えているのが現状です。この行事を次の世代にどう引き継ぐかが大きな課題です。幸いにも今年からは江泊町(海側)の人たちが協力してくれることになり心強い限りです。これまで先人が苦労して続けてきたものを絶やさず引き継いでいく。ただそれだけの想いでやっています。

 世界農業遺産「能登の里山里海」ロゴマーク

「のと」という文字をデザインしたもので、「の」の緑は里山を、「と」の青は里海をイメージしており、能登半島における農林漁業などの伝統的な営みや、能登半島の維持に向けた人々の活気や躍動感を表現しています。

[問]

七尾市企画課 電話53-1117

 

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お問い合わせ

所属課室:企画振興部広報広聴課

〒926-8611石川県七尾市袖ケ江町イ部25番地

電話番号:0767-53-8423

ファクス番号:0767-52-0374

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