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七尾ごころ
4No.2442025(令和7年)
広報ななおNANAONEWSLETTER[NANAOGOCORO]
震災で建物や舞台設備などに大きな被害を受けながらも今年2月に復旧を遂げた能登演劇堂で、5月30日から6月22日にかけて20回にわたり上演される「肝っ玉おっ母と子供たち」。公演に先駆け、舞台で実際に使用される装置の公開と出演者によるインタビューが行われ、無名塾を主宰する俳優・仲代達矢さん、同じく無名塾所属の俳優・進藤健太郎さん、島田仁さんと茶谷市長が出席しました。出演者の皆さんが公演に寄せる思いだけでなく、震災で大きな被害を受けた能登への応援メッセージを送りました。
茶谷市長は「ようやく皆さんを受け入れられる状態まで能登演劇堂が復旧した。本公演は能登演劇堂開館30周年、無名塾50周年という記念すべき一年に行われる。公演から皆さんに復興に向けての元気と勇気を受け取ってほしい」と期待を寄せました。
懸命に生きようとする者の目線から戦争の悲惨さを捉えた同作品。本公演は一歩ずつ復興への歩みを進める能登の地を応援するための復興公演として上演されます。
92歳を迎えてもなお、変わらぬ情熱を持ち芝居に取り組み続ける仲代さん。主演を務める本公演への思いを語りました。
能登演劇堂で初演を迎え、次で3度目の公演となる「肝っ玉おっ母と子供たち」。
地震で大きな被害を受けた能登演劇堂ではもう芝居ができないかもしれないと不安に思っていましたが、また公演をやらせていただけることになり、本当にありがたいことだと感じています。公演を通じ、能登の皆さんとさらに心の交流を深めていきたいと思っています。
現在、公演に向けての稽古に取り組んでいますが、92歳の私にはかつてのようにセリフを覚えることや舞台上で歌ったり踊ったりすることは困難です。しかし、私は若い頃から人10倍の努力をして今日まで芝居を続けてきました。今の自分にできる芝居を能登の皆さんに観ていただけることを幸せだと感じつつ、一生懸命に頑張ります。
懸命に生活再建と復興に向けて取り組む能登の人々への思いを仲代さんが明かしました。
誰もが故郷で家族団らんの時間を過ごすはずの元日に発生した震災。「自然は優しくもあり、厳しくもある」ということを今回の震災で痛感しました。能登に一日も早く駆け付けたいという思いで過ごしてきましたが、実際に変わってしまった街並みを見ると、戦争を体験した自分としては、どうしても戦後の焼け野原を思い出し、絶望感に苛まれてしまいます。
能登は自分にとって本当にかけがえのない地であります。能登を「第二のふるさと」だという思いがなければ、40年以上に及ぶ交流を続けてこられなかった。そんなかけがえのない能登の復旧と復興に関わってくださっている全ての皆さんにお礼を申し上げたい。そして私も能登のために何か少しでも、少しでもお力になりたいと思っています。
無名塾主宰仲代達矢
震災により能登演劇堂での上演のめどが立っていないときも、「いつか再び演劇堂の舞台に立てる日が来る」と信じ、本読み稽古に励んでいたという仲代さん。インタビューでは「被災地の芝居小屋に再び明かりが灯ることが何よりもうれしい」と喜びをにじませました。
公演内容が話題に上がると「(本公演は)最も素晴らしい反戦劇の一つ。人生の選択を迫られ続ける主人公から何かを感じ取ってもらえたら」と話し、「現在、世界情勢はとても不安定な中にある。戦争体験者として、公演を通じ平和の大切さを呼び掛けたい」と反戦への思いを訴えました。
最後に、市民の皆さんへの一言を求められると「92歳の体には苦労することも多いが、これからも舞台に立つことに挑戦し続けたいと思っています。ぜひ多くの方に足を運んで観劇していただきたい」と公演への意欲を語りました。そして、進藤さん、島田さんと共に劇中歌を披露すると、観客からは大きな拍手が送られました。
ドイツの劇作家ブレヒトの反戦劇で、戦火を渡り歩いた女主人公アンナは戦争で3人の子どもたちを次々に奪われていく。がむしゃらに生きるアンナがたどる道とは――。
インタビューでは、無名塾の皆さんが被災した家屋から災害ごみを搬出するボランティアなどに取り組んできたことにも焦点が当てられました。
令和5年に能登演劇堂で上演された「等伯─反骨の画聖─」で主演を務めた赤羽秀之さんをはじめとする、のべ270人が昨年1~5月の間に市内での災害支援を行いました。
登壇した島田さんも「何か少しでも能登の復興のためにできることがあれば」という思いで作業に当たっていたと話しました。
また、無名塾の皆さんによる復興支援は震災から一年以上が経った今もなお、さまざまな形で続けられています。被災地へ笑顔と元気を届けようと本公演への出演が決まっている俳優たちも活動を行いました。
昨年8月には円地晶子さんが市立図書館で行われた親子向けのイベントで講師を務め、12月には川村進さんが能登演劇堂でのイベントで詩の朗読などを行い、訪れた皆さんと温かなひと時を過ごしました。今年3月には本郷弦さんが復興応援公演を企画し、観客に笑いと元気を届けました。
5月30日(金曜日)~6月22日(日曜日)
(注意)6月3日、9日、13日、18日は休演
前売一般:8800円
高校生以下:5500円
障がい者:5500円
(注意)未就学児入場不可、車いすで観劇する人は能登演劇堂までお問い合わせください。
チケットぴあ:Pコード528-908
ローソンチケット:Pコード56317
イープラス
問い合わせ能登演劇堂電話番号66-2323FAX66-2326
〒929-2222七尾市中島町中島上部9番地