本文へスキップします。

ここから本文です。

更新日:2021年11月1日

2~5ページ

若者たちに学ぶ、これからの地域のつながり方
オンラインでまちづくり

「ふるさとの関係人口を増やしたい」という思いから始まった、能登出身の若者でつくるオンラインコミュニティ「NOTORN(ノターン)」。オンラインを活用した新たなまちづくりで、七尾市に新しい風を吹き込んでいます。

離れても能登とつながる

中島町豊田の谷一浩平さんが能登出身の若者でつくるオンラインコミュニティ「NOTORN」を今年5月に立ち上げました。市内のまちづくり会社の(株)御祓川のインターンシップを経験した谷一さん。今年4月から大学を休学し、地元中島町のまちづくりにも携わりつつ、地域活性化につながる活動を始めました。
大学進学など地元を離れると、自主的に関わろうとしない限り、地元とのつながりが薄くなっていく一方だと感じ、コロナ禍でも若者がアクセスしやすいオンラインのコミュニティを作って、関係人口を増やしていきたいと考えました。
ノターンは、「能登」と「ターン」を組み合わせた造語で「能登に帰る。立ち返る」という意味が込められています。メンバーは現在、県内外の高校生や大学生、社会人らの24人で、宝達志水町以北の能登地方在住者と出身者に限定しています。能登を離れた若者の中には「働く場が少ないから帰らない」といった考えが多いと気付いた谷一さん。同時に、ふるさとへの愛着の強さも感じており、「地元に対する関わり方はUターンして働くことだけではない。離れていてもオンラインで能登とつながることができる場所にしたい」と思いを語ります。
活動は、オンラインを活用して月に一度、能登の未来について語り合うほか、高校生の進学や、大学生の就職の相談に乗ったり、能登で働く社会人の生き方や働き方に迫るトーク番組の動画を作ったりと、自分たちにできることを考え活動しています。
「ノターンのコミュニティによるつながりは短期的なものではなく、10年程かけて地元に価値として還元されていく仕組みを狙っている。今後も、能登地方出身の高校生向けのオンライン塾を開き、能登地方の人や文化を発信する媒体を作りたい」と目を輝かせる谷一さん。
最近では、メンバーが地方に住んでいることや、大学に通う利点を生かして、市内のまちづくりに取り組む団体に協力することも増えてきました。多くの人と一緒に、離れた場所からでもふるさとの活性化に取り組む彼らの活動に、今後も注目です。

NOTORN代表
谷一浩平さん(21歳)
大阪在学中島町豊田出身

10年後の七尾を語り合う「ふるさと元気化構想」

県外の大学に通う七尾市出身のメンバー3人に、期待する七尾市の10年後の姿などを語ってもらいました。

Q七尾の好きなところは?
石井
然豊かで空気がおいしく、水道水もおいしいところ。今は、市販の水を買って飲んでいます。
福山道水がおいしいのは同感です。私は、海が近いところですね。京都では、魚の値段が高くてなかなか食べられません。七尾は安くておいしいです。
福田りも忘れてはいけません。でか山の鍛冶町の若衆として毎年祭りに参加しています。でか山以外にも、石崎奉燈祭やお熊甲祭なども呼ばれて参加しています。

Q反対に七尾の改善点は?
石井は高校生の時に、若者向けのものが少ないと思っていました。例えば、勉強するために長時間利用できるフリースペースがもっとあればいいですね。
福山会に比べると交通の便が劣ってしまいます。車がないと出かけにくいですよね。それから、七尾の知名度が低いこと。アルバイト先で出身を聞かれ、七尾と言っても通じず、能登とか、和倉温泉と言うとやっと分かってもらえます。
福田手保険会社に就職した友人が、たまたま七尾勤務になったのですが、友人から、どこか壁を感じたと聞きました。観光客には優しいけれど、移住者には無意識に壁を作ってしまっているのではないかと思います。それから、雇用が少ないところ。都会よりも雇用が限られるという印象があります。

Q期待する七尾市の10年後の姿
石井わる人が少ないと視野が狭くなりがちなので、情報をもっと取得できる環境が整えばいいと思います。今は場所や時間を問わない自由な働き方が好まれる傾向で、情報通信機器の充実はそれを推し進めるきっかけになると思います。私は将来、フリーランスとして働きたいので、七尾でも環境が整っていたらうれしいです。
福山も、同感です。子どもたちにオンライン会議システムを使って、いろいろな人と関わる機会がもっと増えればいいと思います。私が高校生の時に、大学生とか県外の人ともっと話ができていれば、選択肢が違ってきたのかなと思うことがあります。
福田りを全国放送のテレビで取り上げてもらい、石川と言えばでか山などとイメージしてもらえるほど、祭りを観光資源として活用できたらいいなと思います。それから雇用問題は、簡単に解決できることではないですが、本社移転が七尾で進めばいいなと思います。今年、珠洲市に東証一部上場企業が本社機能の一部を移転してきたニュースを見ました。東証一部上場企業が来ることは全国的な知名度アップと雇用の創出につながります。企業誘致の助成制度をもっと充実すればいいのではないでしょうか。

Q今後どのようにふるさとに関わっていきたい?
石井
学の勉強とは別でIT関連の勉強もしているので、七尾の情報を発信したり、老若男女問わず情報をもっと手軽に収集できたりするようなお手伝いができたらいいなと思います。頑張る人を応援できるようなカフェを七尾で開けたらいいですね。
福山分のやりたいこと、夢を見つけるお手伝いができたらいいなと思います。私は心理学の勉強もしているので、学校に居場所がなかったら、どこにも居場所がないのではなく、世界は広いし、いろんな選択肢があることを伝えたいです。将来は一カ所に留まらず、七尾市を含めて多拠点生活をしてみたいです。
福田人と同じですが、情報を取得することが大事だと感じます。僕が高校生の時、会計士の仕事を知る機会があったので、会計士を目指そうと思いました。今、情報は携帯などで簡単に探せますが、学生は具体的に何を得ればいいか分からないのではないでしょうか。ノターンにはいろいろな道に進むメンバーがいるので、選択肢を増やす手伝いができると思います。将来は七尾に帰って来て、祭りに関わる人も増やしたいですね。

石井美帆さん(22歳)関西地方在学府中町出身

福山珠杏さん(22歳)京都在学府町出身

福田雄介さん(25歳)大阪在学町出身

自分次第で関わり方は無限大!全国各地から能登とつながるNOTORNの取り組み

高校生向けオンライン実習室員を目指す中川さん、松本さん企画

七尾高校出身で、5月に母校で教育実習を行った中川倫太郎さんと松本千雅さん。生徒から「一人だと夜に集中して勉強できない」という声を聞き、高校生向けに、ビデオ会議システムを使った「オンライン実習室」を開設しました。
毎週月曜日の午後8時から午前11時まで開設し、参加者が互いの勉強する姿を見せ、刺激を受けながら勉強する環境を提供。高校生の質問にも答えます。

高齢者とオンライン交流都在学の浅野さん企画
コロナ禍で外部と交流ができなくなった高齢者施設の利用者を元気づけようと、小丸山台出身で京都在学の浅野桃子さんがオンラインを使った交流を企画。祖父母が中島町で暮らしていることもあり、同町の秀楽苑デイサービスセンターを交流先に決めました。
9月に開催したイベントでは、ビデオ会議システムを活用して同センターの利用者と画面越しに学生考案のゲームを楽しみました。

コラボ企画1.尾商工会議所七尾の未来構想委員会×七尾高校生×NOTORN

高校生考案のビジネスプランに助言

七尾高校文系フロンティアコースの2年生は、「高校生ビジネスプラン・グランプリ(日本政策金融公庫主催)」に応募するためのビジネスプランを考えました。同グランプリは、地域課題の解決をテーマに高校生がビジネスプランを競う全国規模の大会で、次世代を担う若者の創業精神の向上を目的としています。谷一さんは「プランを考えて、応募するだけではもったいない」と思い、高校生のビジネスプランを地元の人たちに知ってもらうため、七尾商工会議所と協力してオンラインでの発表の場を設けました。参加した社会人から感想やアドバイスをもらい、プランを磨き上げることも狙いとしています。
9月に開催したオンラインでの発表会には、高校生や大学生、社会人約30人が参加し、高校生が考えたプランについて語り合いました。

七尾高校2年松井水香さん
私たちの班は、防災備蓄品の使用期限を定期的に確認し更新する「防災サブスクリプション」を考えました。高齢者宅の見守り活動も兼ねてできたらいいなと思いました。地域を見つめ直す機会になりました。

七尾高校2年水野愛さん
私たちの班が発表したプランは、「移住体験ツアー」です。農業の後継者不足を解消するために、農業体験などをツアーに盛り込みました。すでに移住体験ツアーに取り組む会社の人や、いろいろな人の意見を聞くことができてよかったです。

コラボ企画2.田郷地区まちづくり協議会×七尾東部中学生×NOTORN

オンライン修学旅行

新型コロナウイルスの影響で修学旅行が中止になった市内の中学生のために、矢田郷地区まちづくり協議会の企画推進部会が企画した「オンライン修学旅行」に協力。9月23日、七尾市出身で県外の大学に通うメンバー5人と、七尾東部中学校の3年生5人をオンラインで結び、メンバーが住む地域の歴史や文化をクイズ形式で紹介しました。その様子は、動画配信サイトで中継し、市内の中学生などがそれぞれの自宅からパソコンなどで視聴し楽しみました。

七尾東部中学校3年石垣歩夢さん
高校で離れ離れになる友達もいるので、修学旅行がなくなって悲しかった。現地には行けなかったけれど、先輩のおかげでいい思い出になりました。

オンライン修学旅行画者インタビュー

矢田郷地区まちづくり協議会企画推進部会梶崇さん
子どもたちもコロナの被害者です。学校の行事が次々と無くなり、修学旅行も中止になったと聞いて、何かいい思い出をつくれないかと考えたときに、ノターンのメンバーが全国にいることが頭に浮かび、谷一くんに協力を依頼しました。
学びの場としたかったので、学生が暮らす地域の歴史や文化などに関するクイズを出題してもらったり、お勧めの場所などを紹介してもらったりしました。本来の修学旅行とは違うかたちですが、楽しんでもらえて良かったです。
まちづくりに関わる一人として、ノターンの取り組みは、とても心強く感じています。特に中学生、高校生が将来を考えるときに、私たち世代から言われる言葉より、県外に出た先輩から「七尾はいいよ」などと言ってくれるととても説得力があると思います。
ノターンの皆さんには、社会人になっても良好な関係を続けて、能登の輪をもっと多くの人に広げていってほしいです。

ノターンが学生100人に食料支援

6月、コロナ禍でアルバイト収入が減少する七尾市出身の県外在住学生100人に食料支援を行いました。谷一さんが、地元企業に協力を呼び掛け実現。JA能登わかば農業協同組合からコシヒカリ600kg、(株)スギヨからは、おでんのレトルトパック200食を無償で提供してもらい、北海道から熊本県在住の学生に送りました。受け取ったノターンのメンバーは「とても助かりました。ノターンの取り組みを通して、地元に恩返ししたい」と話しました。

お問い合わせ

所属課室:企画振興部広報広聴課

〒926-8611石川県七尾市袖ケ江町イ部25番地

電話番号:0767-53-8423

ファクス番号:0767-52-0374

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?