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広報ななお
七尾ごころ
令和元年(2019年)6月号No.177
私たちの思いを伝えたい
手話は、障害者の権利に関する条約や障害者基本法で言語として位置付けられています。しかし現状では、手話に対する理解が社会に深く浸透しているとは必ずしも言えません。そのため、手話に対する理解を深め、手話を使用しやすい環境を整えることがこれまで以上に求められています。
手話とは
日本語などの音声言語の代わりに、手や指の動き、表情を使って意思を表す視覚言語です。音声言語に方言や外国語があるように、手話にも地域や文化によって表現の仕方が異なります。
ろう者とは
耳が聞こえない人のうち、手話を言語として、家庭や学校、職場、地域社会などでコミュニケーションを取る人です。「ろう」は聞こえない状態を意味します。
「ろうあ者」という言葉を用いる場合もありますが、「あ」は「音声で話せない」ことを意味します。
現在、手話奉仕員養成講座などの講師をしている松井隆夫さん。聴覚障害者としての苦労や手話の大切さを伺いました。
能登町に生まれ、原因は不明ですが、2歳の時に耳が聞こえなくなりました。初めは、地元の小学校への入学を考えていましたが、周りの人とコミュニケーションをうまく取れなかったため、金沢にある県内唯一のろう学校に入学しました。
手話は、ろう学校の先輩をまねて覚えました。学校では声に出して話せるように口話で五十音を発する練習をしました。先生には上手に話せていると言われましたが、実家に戻り両親と会話をすると全然通じず、とても残念でした。両親は手話ができなかったので、筆談や身ぶり手ぶりで会話をしました。口の形を読み取ることもできましたが、「タバコ」や「たまご」といった口の形が同じ単語は、身ぶり手ぶりがないと分かりません。ろう学校に戻ると、友達と手話で会話ができたのでとても楽しく、手話が一番のコミュニケーション手段だと思いました。
ろう学校中等部を卒業してからは、いくつかの仕事に就きましたが、周囲に手話ができる人がおらず、コミュニケーションに苦労しました。現在は昔と違い、病院に行くときは手話通訳者が派遣されたり、手話を学ぶ人が増えたりして、困ることや悔しい思いをすることは少なくなりました。しかし、買い物に出掛けても手話ができる店員はほとんどいません。これは昔と変わらない点です。
今回、七尾市で手話言語条例が制定されました。非常にうれしいことです。これを機に警察署や消防署、学校の授業などで手話を取り入れてほしいです。
各団体の活動紹介
私たちは、手話を広め、聴覚障害者を理解してもらうために活動しています。
手話に興味を持ってくれるとうれしいです。ぜひ、一緒に手話を覚えてみませんか。
七尾市ろうあ協会
手話サークル積木の会
内容:手話学者、ろう者との交流、その他各種イベントもあります
日時:毎週木曜日午後7時から午後9時
場所:ワークパル七尾
会費:年間3,000円
問い合わせ:船塚彩香
電話番号090-6810-8342
手話サークルたけのこ
内容:手話学者、ろう者との交流
日時:毎週水曜日午後2時から午後3時30分
場所:リサイクルショップ(リボン店)
会費:年間2,000円
問い合わせ:中村由実
電話番号090-8261-0365
石川県立田鶴浜高等学校手話部2年生の宮下萌果さん、山本莉子さん、中山結里さん、青山青奈さん、万年穂華さんに伺いました。(写真左から)
手話部の目的は何ですか
手話パフォーマンスで手話の魅力を伝え、広げることです。
どうして手話部に入りましたか
宮下:先輩が手話パフォーマンスをする姿に憧れたからです。
山本・中山:将来、看護師になったときに手話を役立てたいからです。
どのように手話を覚えましたか
歌手の高橋優さんの「福笑い」などの曲を題材に、歌詞を手話で表現する「手話歌」で覚えました。
ろう者の皆さんに伝えたいこと
直接会話をして多くの手話を教えてほしいです。また、いろんなイベントで手話パフォーマンスを披露しているので、気軽に誘ってほしいです。
健聴者の皆さんに伝えたいこと
山本:耳が聞こえなくても、私たちと変わらない日常生活を過ごしていることを知ってほしいです。
中山:私が手話を分からない中で意図を伝えようとしていると、分かろうと歩み寄ってくれました。そんなろう者のことを理解して、いろいろと話をしてほしいです。
青山:今まで接したろう者はみんな明るく楽しい人たちだったので、もっとろう者のことを知ってほしいです。
万年:手話を学ぶことで、ろう者との関わりが深くなるので、少しでも手話に興味を持ってほしいです。
石川県立田鶴浜高等学校手話部の活動紹介
いろいろなイベントに参加し、手話パフォーマンスを披露しています。
七尾市手話言語条例の制定
平成31年4月からスタート!
手話に対する理解を深め、手話を使いやすい環境を整えることで、全ての市民が共に支え合い、安心して暮らすことができる地域社会を目指します。
<市の主な取り組み>
●福祉課窓口での手話通訳者の配置
●手話通訳者や要約筆記者の派遣
●手話奉仕員養成講座の開催(入門編・基礎編)
<市職員から一言>
条例をきっかけに手話が市民にとって身近な言語となるよう、しっかりと取り組みたいと思います。
七尾市ろうあ協会
会長 徳田正広さん
七尾市ろうあ協会は、昭和52年7月に県内で3番目、能登地区では初めてのろうあ協会として結成しました。手話ができる人の増加や手話通訳者の育成などを目標に活動を続けています。また、七尾市民健康福祉まつりで手話体験コーナーを設け、手話に触れ合える機会をつくるなどの普及活動も行っています。
このたび、七尾市手話言語条例が制定されました。手話は、私たちろう者にとって大切な言葉であり、日常生活を営むための大切なコミュニケーション手段です。条例制定をきっかけに手話が身近な存在となり、これから手話に興味を持つ人や学ぶ人、ろう者を知る人が増え、障害がある人もない人も、当たり前に手話でコミュニケーションが取れる社会になることを願っています。
令和元年度、手話に関するイベント紹介
第14回ななお健康&福祉まつり手話体験コーナー
開催日:10月5日(土曜日)
場所:未定
問い合わせ:七尾市社会福祉協議会
電話番号:52-2099
第54回石川県ろうあ者福祉大会
開催日:9月1日(日曜日)
場所:野々市市文化会館フォルテ
問い合わせ:石川県聴覚障害者協会
電話番号:076-264-8615
石川県障害者ふれあいフェスティバル
開催日:9月22日(日曜日)
場所:石川県産業展示館
問い合わせ:石川県障害保健福祉課
電話番号:076-225-1426
第14回全国手話検定試験
開催日:10月12日(土曜日)
場所:石川県社会福祉会館ほか全国53会場
問い合わせ:全国手話研修センター
電話番号:075-871-9741
手話をやってみよう
おはよう
こめかみに当てたこぶしを下ろす→向かい合わせた人差し指を曲げる
ありがとう
左手のひらを下に向け右手を甲に当てる→右手を上げながらお辞儀する
お疲れ様です
右手のこぶしで左腕を2回たたく
よろしくお願いします
鼻の前で握ったこぶしを前に出す→顔の正面から手のひらを前に出し、お辞儀する
わかりました
手のひらで胸をなで下ろす
令和
5本指をすぼめる→前に出しながら指先を緩やかに開く
表紙のポーズは、手話で「アイラブユー」を表現しています。