ホーム > 市政 > 広報・広聴 > 広報ななお(9月号発行) > バックナンバー平成26年 > 平成26年11月号 > 広報ななお2014年(平成26年)11月号テキストブック版 > 2~15ページ
ここから本文です。
七尾鹿島消防本部は、七尾市と中能登町の範囲で、市民の安心安全な生活を守るため、火災予防や消火活動、救急や水防活動を行っている。消防本部1、消防署2、分署1、分遣所5の組織で構成されている。また、消防団は3団があり、その配下に各地域で構成されている分団29の組織がある。
前身である七尾鹿島広域圏事務組合消防本部は、昭和46年に、旧七尾市と鹿島郡6町(田鶴浜町、鳥屋町、中島町、鹿島町、能登島町、鹿西町)で組織する消防として誕生。
平成25年3月、七尾鹿島広域圏事務組合の解散に伴い、4月から七尾市が中能登町の消防業務を引き継ぎ、現在の七尾鹿島消防本部となった。
現在、消防本部と消防署には、消防長以下145人の消防職員がいる。3つの消防団には490人の団員が在籍している。
安心安全なまちづくりを目指す七尾市にとって、重要な組織である七尾鹿島消防本部。身近な存在である消防のことを市民の皆さんはどれだけ知っているだろうか。「火事のときに駆けつけるのが消防」と思っているのでは。それは消防署の代名詞であって、業務はそれだけではない。例えば代表的な業務に救急業務がある。「救急車は病院からやって来る」と思っていないだろうか。実はほとんどの救急車は、消防署から出動している。
この特集では、市民の安心安全な暮らしを守るために、日夜、訓練やパトロールなど、さまざまな努力をしている消防士や消防団員を取り上げる。そして、知っているようで知らない消防署の業務や、市民が見ることのできない消防士の24時間勤務の実態、地域の住民で組織する消防団の紹介や子どもでも楽しめる消防車両図鑑などを紹介する。
最後に消防長と第1・第2消防団長の対談を取り上げ、消防の現状や課題とこれからの防災の在り方などを語ってもらう。
近年、私たちの想像を絶する災害が発生し、消防署や消防団だけでは対応できない場合が生じている。この特集をきっかけに自分自身でもできる防災や減災に取り組み、消防士や消防団員、そして市民の皆さんとの共助の関係を成立させ、災害に立ち向かう環境を築いてはどうだろうか。
市民の安心安全な生活を守るために、24時間体制をとる七尾消防署の動きを追ってみた。
七尾消防署は、消防隊と救急隊があり、基本24時間交代で任務にあたっている。
一日の始まりは、午前8時30分に行われる点呼から。特に毎月1日に行われる七尾消防署長による通常点検では、消防署員全員が金色のボタンが輝く制服を身にまとって整列し、手帳などの点検を受ける。消防士は、目線を一点に合わせ、微動だにしない。緊張した面持ちで一日がスタートする。
通常、午前中は車両や無線、消防署装備品類などの点検や、交通事故や火災現場を想定した訓練などが行われる。
午後からは、消火栓や防火水槽などの点検を兼ねたパトロールを中心に、事務処理やトレーニングなども行われる。
24時間の動きを追ってみて、感じることがいくつかあった。
一つ目は、訓練で感じたこと。市民の防火意識の向上やオール電化の家が普及してきたことで、火災件数が年々減っている。それに伴い、若手消防士は、火災現場の経験数が必然的に少なくなり、実戦訓練での経験を積むしかないことが現状。4年目のある消防士に聞いたところ、出動経験は4回だと言う。年に1度のペースである。
二つ目は、人が人を育てるということ。先輩が後輩を育てることは当然だが、2年目の消防士は、後輩が配属されたことで、自身がしっかりとしなければいけないという気持ちが生まれ、意識や行動が大きく変わるという。
三つ目は、消防士は人を救う業務に当たるが、自分自身の命もまた重要である。「ミイラ取りがミイラになるな」を合言葉に救助活動を行っている。
消防士は、火を消すだけの仕事ではない。時には救助活動も行い、時には指令担当も行う。つまり、消防士たちは、オールマイティーに消防業務をこなす集団なのだ。そんな実情が見られる消防士の一日をご覧くだ
さい。
注記:ミイラ取りがミイラになる…人を探しに行った者が戻ってこないために、逆に探される立場になること。
通常点検
月に1回、七尾消防署員全員が整列し、署長が、制服の乱れと消防手帳を確認。そして、点呼を行う。
引継ぎ
前日にあったこと、今日の予定などを、前日勤務の人が当日勤務の人へ引き継ぐ。
訓練
訓練は毎日行う。さまざまな状況を想定し、毎回内容を変えて行う。
訓練反省
訓練が終わると、緊急時や次の訓練に生かすため、その場で、反省点などを話し合う。
パトロール
毎日、管轄地域を巡回。消火栓や防火水槽を点検しながら、パトロールを行う。
事務作業
屋外の業務が多い消防士。しかし、報告書やいろいろな許可申請などの事務作業も行っている。
夕食準備
週に一度、若手消防士が夕食を作る。定番料理はカレー。食べるノルマは、丼ぶり2杯以上。
夜間訓練
調理中、抜き打ちで夜間訓練を実施。暗い中でも慌てず対応できるように訓練を行う。
夕食
同じ釜の飯を食べ、コミュニケーションを図ることで、チームの結束力を高めている。
自主トレーニング
過酷な災害現場でも負けない体を作るため、消防士は日々の体力作りに余念がない。
救急救命訓練
この時間でもスキルアップに努める消防士。先輩から、新人に救命時の指導。
自主勉強
出動に備えながら、若手消防士は訓練の動画や専門書を使って勉強をしている。
仮眠
交代で仮眠する。2時間ごとに、代わる代わる休憩。もちろん、緊急時は出動する。
この時間、指令室では...
119番がかかれば、各消防署、分遣所へ即、情報伝達。そのスピードは10~11ページを参考。
清掃作業
庁舎や任務を共にする相棒である車両に、感謝を込めながら掃除などを行う。
一日の勤務終了
24時間の勤務が終了し、次の日のチームと交代。皆さん、本当にお疲れさまでした。
消防団は、地域の人々の暮らしを守るために、日夜活動しています。
そして、消防団に所属する消防団員は、一人一人が日頃はそれぞれの仕事をしながらも、火事や災害など、緊急時には駆け付け、消防署の隊員と協力して現場活動にあたっています。
そんな頼もしい消防団員399人を紹介します。
団長:大湯 政行
副団長:川口 竹弘、林 義昭、道口 豊
女性消防団員
部長:田治 康子
姥浦 寿美江
島﨑 澄香
坪野 悦子
松平 滋子
出島 暢香
一瀬 育子
12人
分団長:三室 巧
土井 隆
小林 俊一
松本 久雄
橋本 隆
清水 豊
北橋 譲
梶本 雅浩
安井 宏志
山崎 智之
清水 泰斗
白山 覚也
15人
分団長:松本 健一
中島 忠重
三野 修一
石垣 活彦
野村 伸之
庵 智裕
久保 宏史
源内 盛雄
谷田 正人
西 春彦
西田 憲浩
野澤 茂輝
米谷 正樹
長浦 聖
林 翔太郎
14人
分団長:萬谷 隆行
池尾 孝治
津田 友明
堂脇 清隆
鳥本 孝典
中田 純一
小柳 宗久
皆川 恵太
川島 竜太
因幡 勝善
香川 茂樹
内藤 利昭
松井 輝勝
岩永 誠
19人
分団長:坂本 秀己
羽石 重信
坂井 隆夫
今川 宏一
大山 正樹
田村 正夫
寺訳 浩二
関軒 明宏
土橋 将樹
大貝 武司
高橋 英樹
平野 貴史
関軒 洋一
山口 雅史
前田 秀樹
當摩 正浩
硲 貴志
八十島 義博
堀口 誠
18人
分団長:岡崎 正
岡﨑 耕吉
須﨑 正一
白井 秀一
鹿山 豊和
泉澤 宣裕
中島 裕
三島 万之
春木 恒
西野 龍也
川中 孝二
石本 健一
岡﨑 洋一
末平 庄志
和田 雄磨
清水 寛弥
小島 哲也
川口 秀輔
21人
分団長:北田栄一
小川 勉
安田 利夫
岩﨑 昌敏
岩田 昭彦
鳥毛 諭
受川 愼司
中山 博和
岩﨑 直樹
小山 裕二
森屋 太
堂谷内 達夫
坂口 元
川口 茂樹
澤野 柾樹
戸田 健太
河本 良一
川内 友晴
山本 謙吾
山岸 晶
山﨑 和也
19人
分団長:高橋 裕之
岡田 大吾
杉原 誠也
楠 明男
竹田 昌能
渡 利之
野崎 長和
竹内 重和
西崎 義幸
霞流 一郎
西田 和也
中川 仁智
中西 辰徳
宮川 智博
楠 尚樹
後藤 聖弥
大松 剛士
道下 尋栄
前浜 慶太
15人
分団長:本田 裕昭
仲島 充
本橋 孝
堤 和彦
宮﨑 光博
竹内 忠嗣
刀祢 修
宮﨑 操
高田 裕史
釜井 孝志
村山 学
守澤 宰
岩間 卓也
後藤 慶太
小崎 武雄
20人
分団長:徳田 正則
竹森 武志
高橋 清志
中道 信夫
沢多 忠也
細川 保
石倉 大作
小林 勝
小林 直樹
直江 圭介
佐渡 裕太郎
小林 謙二
前吉 利光
大崎 誠也
守澤 清二
中川 仁
脇内 佐智明
前吉 克彦
尾崎 壽和
宮下 達也
16人
分団長:村本 正俊
中村 幸雄
池島 昌治
竹澤 直樹
多村 勝信
宮澤 貴史
清酒 達志
岩島 名取
守山 綾
岩本 敦
舘島 宏和
中村 大志
仲島 塁
星野博光
稲垣翔太
荒川晃明
15人
分団長:冨田 芳一
大橋 広
平野 政信
大澗 敏成
北野 義勝
広沢 悟
玉川 友和
山本 輝彦
赤岩 隼人
広瀬 勝
飯山 智也
東 礼治
白石 康智
竹本 和教
北橋 誠也
13人
団長:藤原 茂雄
坂上 清信
横山 計之
井守 明
岡野 吉和
石田 徳之
杉森 博文
牧野 年春
岩崎 理紀
坂口 貴志
伊豆 誠二
寺下 遼司
大橋 修治
12人
分団長:前 一郎
澤木 俊宏
竹内 淳
左藤 秀明
平山 裕幸
髙瀬 秀一
加地 伸弥
加藤 芳正
田口 誠
岩崎 竜也
橋屋 守
加地 徹也
15人
分団長:源田 秀樹
中谷内 優
嶋田 茂秋
山田 篤志
保科 孝太郎
中村 等
海老 元幸
桜井 清和
高橋 俊朗
出島 佑太
村田 将
田中清隆
土井 浩
岡本 崇
嶋田 真哉
16人
分団長:宮下 祐輔
坂下 弘尚
唐木 誠一
浜口 嘉与志
竹本 謙信
岡崎 敬規
舩木 茂樹
古屋 茂樹
菅野 伸悟
七海 高生
瀬成 道斗
崎山 大
高田 重文
西川 剛志
大脇 翔太
山本 明
9人
団長:杉木 勉
副団長
廣瀬孝
干場 政明
女性消防団員
部長:谷口 薫
川森 有紗
矢谷 倫子
大場 理恵
扇原 真理
大森 美沙子
15人
分団長:前田 哲夫
池田 孝樹
谷渡 豊
後藤 豊和
浅瀬 辰暁
深山 明博
土本 孝司
観音 和繁
南出 大輔
黒崎 孝夫
氣戸 佐俊
水谷 武就
西本 勉
野村 慎一
時國 富男
16人
分団長:梅田 吉則
大塚 公彰
神戸 秀樹
遠藤 敦
倉田 克典
三野 雄治
鶴田 英樹
西村 雅宏
播磨 智央
中村 正
寺井 祐昭
畑 昭男
岡 野繁
鯨波 茂
松田 広司
三野 秋男
15人
分団長:中村 直樹
大石 勲
長田 敏也
岩島 大介
松本 哲也
山口 一成
中村 成実
山下 勇二
大畠 大
佐竹 和宏
廣瀬 祥伍
小林 敏紀
西谷内 和雄
池江 秀夫
佐々木 義明
17人
分団長:芝田 英樹
横山 正彦
宮本 勉
島本 攻
山下 棋久夫
大田 裕弘
飛田 勇人
清森 勝也
保蔵 薫英
藤井 信悟
水上 友浩
荒木 邦男
飛田 周市
樋爪 良一
池田 弘
中村 秀雄
17人
分団長:松中 功裕
大森 清一
寺田 喜好
畑中 博幸
福原 勝幸
福原 陽一
福井 幸一
永坂 竜哉
泉 勝大
畑中 誠
稲本 達也
岡崎 隆志
道端 五郎
山本 勝章
永坂 健二
宮下 敦
田口 一三
15人
分団長:山本 正秋
久木 義雄
岩端 裕喜男
岩倉 浩二
久岡 禎則
大黒 浩
岩下 一等
橋本 晃平
山崎 美智夫
大森 幸太郎
嶽 佐一
大野 義浩
大野木 司朗
山本 権七
水口 真
14人
分団長:川端 富夫
山下 泰時
清水 正人
和田 幸夫
野中 央
辻 武良
石塚 慎也
森村 透
松田 友也
杉木 祐輔
谷口 道夫
石塚 与志夫
干場 清市
関塚 弘志
16人
分団長:丸山 勝
水橋 豊
松本 智之
平澤 孝明
堂端 剛
廣田 忍
中井 博和
楢木 幸生
花田 隼一
矢谷 昭成
本谷 宏志
山岸 邦夫
上野 道章
松井 真次
井平 秀一
数左 繁
14人
分団長:橋本 幸博
室木 恵一
瀬戸 雄二郎
村 朝日
椎 紀洋
浦上 智和
山田 耕平
木村 拓未
小谷 英太
瀬戸 茂
山辺 茂雄
花田 衛
下出 弘一
下出 幸治
11月5日現在、消防団に在籍している皆さんです。
火災48件
救急2,789件
救助25件
平成7年度
125,000,000円(和倉分署)
中高層建築物における消火・救助活動を行うために制作された車両で、地上40メートルまではしごを伸ばすことができ、火災時など、ビルの高層階に取り残された人の救出や高所からの放水活動および警戒活動を行います。
平成25年度・災害出動回数
火災1件
平成3年度
18,735,700円(七尾消防署)
夜間の消防活動で災害現場の照明作業を行うとともに、電力を必要とする消防機器や緊急に電力供給を必要とする施設などに給電できる装備を搭載した車両です。
平成25年度・災害出動回数
火災4件、水難事故1件
合計5件
平成4年度
54,590,000円(七尾消防署)
特殊リンク構造の伸縮ブームにより障害物を乗り越えての消火・救助活動が可能。最大で地上16メートルの高さまで活動できます。
平成25年度・災害出動回数
火災1件
平成24年度
84,525,000円(七尾消防署)
火災、交通事故、震災などあらゆる災害現場で、救助活動に対応するため、ウインチやクレーン、油圧発生装置などを装備し、重量物排除器具や切断用器具(交通事故などでの閉じ込め事故時に、扉の開閉や切断などに使用する)などを積載した車両です。
平成25年度・災害出動回数
交通事故14件、水難事故5件、機械事故1件、その他の事故1件
合計21件
平成25年度
10,500,000円(七尾消防署)
特殊災害(核・生物・化学災害など)発生時に必要な消防資機材(化学防護服、エアーテントなど)を搬送するためのリフター装置(車両へ重量物を積載するための荷物を載せて上昇、下降する装置)を備えており、国内各地で大規模な災害が発生した際には緊急消防援助隊後方支援隊として従事する車両です。
平成25年度・災害出動回数
導入が昨年度末の為、出動件数ゼロ件
平成10年度
21,900,000円(七尾消防署)
通称タンク車と呼ばれる車両で、1,700リットルの水を積載しているため迅速な消火活動が可能。水利(消火用の水消火栓、防火水槽、自然水利の川・池・海・プールなど)が不足している現場でも速やかに消火活動をはじめることができます。
平成25年度・災害出動回数
交通事故3件、機械事故1件、火災20件
合計24件
平成25年度
30,450,000円(和倉分署)
1分間に2,000リットルの放水能力を有し、薬剤と空気と水を混合させ、わずかな水で消火することが可能なポンプを装備しています。また、多様な災害にも対応可能とする破壊器具、油圧救助器具などの救出救助用資機材も積載した車両です。
CAFS付(薬剤と空気と水を混合させ、わずかな水で消火することが可能なポンプを装備)
平成25年度・災害出動回数
導入が昨年度末の為、出動件数ゼロ件
平成22年度
43,785,000円(七尾消防署)
大規模な危険物施設などの火災に対応するため、1,500リットルの水槽タンクと540リットルの薬液タンクを有し、水と消火薬剤を混合させ、泡消火剤を放射することができる圧縮空気泡消火装置を搭載した車両です。
平成25年度・災害出動回数
救助3件、火災4件、合計6件
平成23年度
31,657,500円(七尾消防署)
事故などで負傷した人や急に病気になった人を医療機関に搬送するため、心電図モニターや除細動器、人工呼吸器など応急処置を行うための高度な救急資機材を搭載した車両です。
平成25年度・災害出動回数
1,427件(七尾消防署配備車両)
平成24年度
11,917,500円(七尾消防署)
海や池、河川などの水難事故で、潜水救助活動を行うための資機材(ドライスーツ・ウエットスーツ・空気ボンベなどの潜水用具一式)を積載した車両です。
平成25年度・災害出動回数
水難事故5件
救急隊員消防士長
清水 早苗
私は、人の命を救う仕事に就くことを目指し、救急救命士の資格を取得し、今の職に就きました。
救急の仕事は、チームを組み、隊員一人一人が連携して行動します。お互いにあうんの呼吸で、カバーし合うことで人を救う行動が成り立つのです。
私は、体力的には男性に負けます。しかし、女性にしかできないこともあります。女性ならではの気遣いが必要なことや、時には女性の患者さんの肌に触れなければならないこともあります。そんなときは、私が対応することで、患者さんの気持ちを落ち着かせることができます。
私たちは平均時間約6分で現地に到着し、全力で救急活動をします。しかし、命を救う上で一番大事なのは、初期対応。現場にいる人がどう対応をするかで、生死を大きく左右することがあるので、そんな状況にあった時は、今ある状況を焦らず、落ち着いて伝えてください。すでにそこから私たちとの連携プレーが始まっているのです。
消防隊員消防司令補
出村 祥一郎
小学6年生の時に、能登島子ども消防クラブの初代会長を務めました。その活動で、消防士と接する機会が何度かあり、消防士になりたいと思いました。実際に仕事に就いてからは、助けた人やその周りの人からとても感謝され、さらにやりがいを感じています。
消防はチームで動きます。日頃からコミュニケーションを密にし、人間関係を大切にしながら業務にあたっています。また、非番の日は、七尾消防署から自宅へ帰る前に約1時間、消火栓や防火水槽の位置確認をしたり、災害現場へ迅速に到着出来るよう、市内の地理であまり得意でない地区を確認したりしています。
消防隊は火災になれば迅速に消火活動を行いますが、一番大切なことは火災を予防することだと思います。火災は少しの油断で発生します。今まで、大切な命や財産を失う悲しい光景を現場で見てきました。たき火やたばこの火などの扱いには十分気をつけてください。
水難隊員消防士長
春山 裕司郎
消防士として配属となった部署の先輩たちは、数少ない水難救助隊員でした。水難事故の救助に向かう先輩たちの姿は普段とは違って大きく感じ、憧れを持ったのが水難救助隊員となったきっかけです。
今では、後輩を指導する立場。いろいろな場面を想定し、時間短縮につながるような救助機材を考案したり、いつでも出動できるように、他署から来る隊員の装備品をチェックしたりするように心掛けています。
水難事故は、少しの知識や対処方法を知ることで、防ぐことができます。
(1)海岸の波打ち際から沖に向かってできる強い流れ(離岸流)の特徴を知りましょう。
(2)靴は浮力があります。
(3)溺れる人を見つけた場合、飛び込まないでください。二次災害につながります。周りにある浮く物をその人に投げて、隊員が来るまで待ってください。
私たちは全力で救助します。しかし、その事故を大きくしないためにも皆さんが一番身近な救助隊員なのです。
指令室員消防副士長
百崎 暢人
指令室の担当になり1年2カ月。これまで、火災や救助の現場など、最前線で働いていたので、戸惑いもありました。しかし、指令室は市民からの連絡が一番に入り、その内容を即座に判断し、現場に向かう消防隊員や救急隊員に指示をするという大事な役割を担っていることを今は実感しています。いつ連絡が入るかわからないことや、24時間、指令室から離れることができないことなど、常に緊張感を感じて仕事をしています。
心掛けていることは、冷静沈着でいること。相手は、慌てて連絡してきます。人によって度合いが違いますが、確実な現場の状況をつかむために、機械的な話し方はせず、冷静に相手を思いやりながら聞き取るようにしています。
もし、皆さんが119番に電話することになった場合、一度冷静になってから連絡してください。確実な内容を伝えてもらえれば、私たちも確実な仕事をすることができます。
市民から119番通報
市民からの119番通報に、指令室の消防士が対応。通報が入るなり、署内にアナウンスが鳴り響き、消防士は即、出動準備に取り掛かる。
駆け降りる消防士たち
出動アナウンスが鳴り響く中、消防士は、その時にしていた業務を取り止め、素早く出動準備に取り掛かる。
防火服に着替える消防士たち
消防士たちが素早く着られるように工夫して準備されている消防服に迅速に着替える。
出動準備室から消防車へと飛び出す消防士たち
着替え終わった消防士たちは、指令室から出動準備室に送られたファクスで場所を確認しながら、消防ポンプ車へ乗り込む。この間も指令室は状況確認などをするため、通報者と話をしている。
消防車出動!
出動する消防士たちは、消防ポンプ車にある無線で指令室の消防士と、詳細な場所や状況を確認する。準備が整ったところで出動!
なぜ消防車は赤色、救急車は白色なのですか?
昭和26年の運輸省令「道路運送車両の保安基準」で、車体の塗色は消防車が赤色、そのほかの緊急自動車は白色と指定されました。しかし、この理由については定かではなく、輸入した消防車の色が赤色だったからとも言われています。
担当:消防隊長
氏名:小林 克則
階級:消防司令
災害出動しているときは何キロぐらいで走行しているのですか?
道路交通法で、緊急時には時速80キロを超えない範囲で走行が認められています。しかし、赤信号の交差点では一時停止をして安全確認するなど、状況に応じた速度で走行しています。
担当:消防隊員
氏名:二艘舟 等
階級:消防司令補
消防車には何を積んでいるのですか?
消火するための水やホースをはじめ、高所に移動するためのはしごや有害な煙やガスから隊員を守る空気呼吸器、暗いところで使用するライトや危険物(車のガソリンなど)が漏れた場合に使用する中和剤など、細かい物も含めれば100種類以上の道具を積んでいます。
担当:消防隊員
氏名:田村 将央
階級:消防士
防火服はどのくらいの重さ?燃えないのですか?
防火服自体はそれほど重くはありませんが、空気呼吸器などの装備を含めると10キログラム程度です。防火服はISO(国際標準化機構)基準に基づいて作られているため、火災の熱でもすぐに燃えないような素材を使用していて、消防職員を火災から守っています。
担当:消防隊員
氏名:不動 泰
階級:消防士
空気呼吸器は、何分ぐらい使用することができますか?
普通に呼吸をしていれば30分程度ですが、消防活動中は呼吸が速くなるので、10から15分程度です。空気の残量が少なくなると警報が鳴って知らせてくれるようになっています。
担当:消防隊員
氏名:田畑 勇志
階級:消防士
現場に着くのは通報から何分?
場所によって違いますが、平均6分程度で現場に着きます。
担当:消防隊員
氏名:杉木 啓悟
階級:消防士
年間の出動回数は?
平成25年度の実績では、火災が48件、救急は2千789件です。平成26年の救急出動は、昨年を上回り、過去最高を記録するペースです。
担当:消防隊長
氏名:森 仁宏
階級:消防司令
消防車が出動中に別の災害を発見したらどうするのですか?
出動中に、別の災害を発見しても、最初に出動指令を受けた災害現場に出動します。しかし、発見した災害の状況を瞬時に判断し、消防車の無線で指令室に連絡します。そして、指令室から次に待機している消防隊に出動指令し、災害現場に駆けつけます。その際、休日の消防士を招集し、被害拡大しても対応できるよう備えます。
担当:消防隊員
氏名:飯田 慎哉
階級:消防士
新人消防士の研修や訓練は?
消防士に採用されると、消防学校に半年間、8午後3時間のカリキュラムで、機械器具の取り扱いやホースを伸ばすことなど、消防士として自らの安全を確保し、災害現場で基本的な活動ができるよう徹底的に訓練を行います。
担当:消防隊員
氏名:越岡 恵範
階級:消防士
今までに一番危なかった場面は?
消火活動中に建物が崩れ(外壁が倒れてきて)、私を含め若い隊員がその下敷きになりそうになったときです。また、緊急車両を運転中、火災現場近くで巻き上がった煙に巻き込まれ、前が見えなくなり、身動きが取れなくなったときも危ないと感じました。回答
担当:消防本部員
氏名:寺下 隆治
階級:消防士長
通報する際に気を付けることは?
まず、火事か救急かを伝えてください。あとは、場所・状況など、必要な情報を指令員が聞きますので、一方的に話さず、こちらの問いに答えてください。場所の確認のため、目標物や隣の家の名前を聞くこともあります。
担当:通信指令員
氏名:藤井知征
階級:消防士長
消防長:土本 幸太郎
第1消防団長:大湯 政行
第2消防団団長:杉木 勉
土本
組織としては、消防本部の下に二つの消防署があります。七尾市を管轄する七尾消防署と、中能登町を管轄する中能登消防署です。七尾消防署は、7つの拠点施設があります。七尾消防署、和倉分署、中島分遣所、能登島分遣所、灘浦分遣所、田鶴浜分遣所、徳田分遣所。中能登消防署は中能登町を一つで管轄しています。消防団との関わりは、消防本部と消防署を含めて、消防団の皆さんが活動しやすいようにコーディネーターのような役割を担っています。
大湯
消防団は、七尾鹿島消防本部から、いろいろな指導を受け、円滑に消防団同士が連携をとり、今日があります。
杉木
七尾鹿島消防本部と消防団は、どっちが上とか下とかではなく、同レベルです。同じ火災現場に行ったときに、プロは消防士。プロの指揮下に入って、消防団員は後方から活動に当たります。消防団は、消防署員の行動をサポートする役目を果たし、消防署員と消防団員がチームプレーをすることで、消火活動などが成立します。同じ火災現場に行けば、消火や救助をするという目的は同じです。
土本
市民の皆さんと一番関係があるのは、救急車だと思います。今年は、年間で2千800件を超える予測で過去最高の出動数となります。昨年度は、2千789件。これを的確な対応をしていかなければならないと考えています。
杉木
大災害があれば、消防団は救助活動、避難施設運営に向かいます。災害についての消防団の役割や、消防署はこんなことをしているということは、市民の皆さんは知らないんじゃないでしょうか。
大湯
消防団共通の問題点といえば、団員数が少ないこと。第1消防団は271人の定数に対して、92%くらいです。しかし、92%という数字は、あくまでも表面上の数値。実際には団員として登録していても活動出来ないという団員も含まれています。
杉木
人口減少で、若い人が少なくなったことが団員不足の問題を引き起こしていると思います。
土本
人口減少中で、消防組織がどうあるべきかを考えなければなりません。平成22年の人口が5万7千900人。そして、30年後の平成52年には、3万5千880人まで減少するという見方があります。男性も恐らく半分以下に。その中で、消防団の人員の確保をしなければならないのです。
大湯
やっぱり、消防団に入るということは、本人の意思も大事ですし、入りやすい環境を作るために企業も協力してもらわなければならないですね。
杉木
第2消防団は、若い団員に、友人たちを誘ってくれと言っています。結果的に、自助努力しなければ仕方がない状態です。もう一つの問題は、全体的にサラリーマン化されていること。中島、田鶴浜の管内で自営業者が減りました。昔は、自営業をする若者たちが町を守ろうと消防団に入りました。今では、自営業者がなくなっているということが、団員減少の一つの原因です。団員は、七尾市街地に勤めている人が多く、「俺、火事なっても戻れんぞいや」と言われます。現実として、平日の昼に地元にいる消防団員は、本当に少ないです。だから、日中の火災が起きた時には、大変困る状態となります。それが、今一番心配なところです。
大湯
それは、全体的に言えますね。
土本
地域には、自主防災組織というものがあります。消防団や消防署、そして自主防災組織をどうやって連携させていけばいいのか。今、考えているところです。自主防災組織の連携を通じてこれからの七尾市の形作りをやっていきたいと思います。
大湯
今までの消防団は、縦の組織だった。今後は横の連携も強め、地域として、行政の足りない部分を補っていかなければなりません。自分たちでできる部分は自分たちでやる。そういったことを地域と消防団と一緒に考えて、できることから行動を起こしていく必要があるのではないでしょうか。
杉木
今は、どこで大きな災害が起きるかわかりません。そんなことを考えると、自主防災組織も含め、消防署や消防団、市役所も交え、大規模災害を想定した訓練をするべきではないかと思います。私たち消防団員は、自分たちが住んでいる町に、地域貢献しているという思いが、誇りとなっています。自己満足かもしれませんが、そんな人がもっともっと増えてくれればと願います。わが在所くらい、自分たちで守りませんか。
大湯
そのようにしていかないと、地域の安全を守る環境は持続しないと思いますよ。
杉木
そこに住んでいる皆さんが、危機意識を持ってほしいですね。本当に安全な地域は存在しません。そこに住んでいる人が考えなければならないのです。