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更新日:2018年8月3日

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広報ななお
七尾ごころ
平成30年(2018年)8月号No.167

~すべては、七尾の未来のために~

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次世代が働ける場、働きたい仕事を残すために
事業承継とまちの未来を考える

30年間で事業所が半数に

全国的に、人口減少や少子高齢化などを背景に事業所の廃業が進んでいる。市でも、約20年前に5000件を超えていた事業所が減少の一途を辿り、2025年には2500件ほどになると予想されている。七尾の経済的な地盤沈下を防ぎ、若者が働ける魅力ある企業をいかに地域に残すことができるかが、課題となっている。

新たな価値を持った企業を生み出す

そこで、市は国の地方創生交付金を活用したローカルベンチャー推進事業に取り組み始めた。ローカルベンチャーとは地域に新しい事業を生んで成長し続けるシステムを作り、人材と資金の流れを都市から地方へと移すこと。この事業の中核を担っているのが市が一部出資している七尾街づくりセンター株式会社である。未来の七尾の経済を支えるために、市内企業の経営支援や人材育成だけでなく、企業がチャレンジしたい、若者が住みたいと思えるような地域づくりにも取り組んでいる。

廃業は地域の活力に関わる問題

経営者の高齢化や後継者不在による廃業を防ぐため、ローカルベンチャー推進事業の1つとして、今年2月に「七尾事業承継オーケストラ」が発足した。官民連携の支援ネットワークで、支援の枠組みに加わる23団体がそれぞれの専門知識やノウハウなどを生かし合い、事業承継が困難な案件を解消する。
廃業か、事業承継か。家族に後継者がいなければ廃業を選ぶという事業所が後を絶たない。しかし、都市部から地方に移住したい人の中には、マネジメントやマーケティングなど都会で培ったスキルを生かせる仕事を求めている人がいる。また、市内でもライフスタイルに合った働き方を探している人がいるのではないだろうか。既存の事業に新たな価値が加わる可能性を持つ事業承継が円滑に行われることは、「住んで働き続けたい」まちの実現につながっていく。

七尾事業承継オーケストラ~「重層的な支援」をするネットワーク~

目的

七尾の経済的地盤沈下を防ぐ

目標

  1. 廃業数、倒産数を減らす
  2. 若者が働ける場、働きたい仕事を残す
  3. 七尾の伝統文化を受け継ぐ企業を残す

手段

関係機関が連携して、困難度の高い案件に取り組む

市内の全企業を支援
七尾街づくりセンター株式会社

3人の専門職を配置

ローカルベンチャーシニアマネージャー

ローカルベンチャーアテンダントと移住コンシェルジュと協力して、七尾でチャレンジする企業を増やし、新たな雇用を生み出す人材。

移住コンシェルジュ

移住相談や移住者のサポート、移住相談セミナーや交流イベントの開催、県外に向け七尾の魅力・人の発信などを通じて移住希望者を呼び込むことを行う人材。

ローカルベンチャーアテンダント

地域の強みと企業が持つ経営資源を組み合わせ、事業者と共に経営課題を解決し、雇用拡大につながる経営支援を行う人材。

企業とまちを元気にする取り組み

  • 人材育成
  • 事業承継
  • 経営支援
  • 七尾のブランディング
  • 七尾の知名度アップ

インターネットで、七尾街づくりセンターで検索

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企業に新たな価値を生み出す仕組みをつくる

ローカルベンチャーアテンダント
友田 景さん

「5年前に、コンサルタントとして七尾の事業に携わり、まちの魅力を感じていたので、ローカルベンチャーアテンダントの募集に手を挙げました」と、地方の企業をサポートし、雇用を生み出すローカルベンチャーアテンダントになったきっかけを話した友田さん。個別に企業を支援するだけでなく、まち全体の産業を底上げする役割にやりがいを感じたそう。

昨年10月に着任し、七尾で暮らし働く人々と共に、既存の企業に新たな価値を生み出す仕組みをつくろうと、事業承継オーケストラに相談する企業などを訪問し、課題解決に向けてサポートしている友田さん。これまでの企業再生コンサルタントとしての経験を生かして腕を振るっている。「住民の皆さんは、七尾には何も無いと言うが、仕事は各業種業態全てがそろっている。若者の働く場や、やりたい仕事をつくり、10年後の七尾の経済を支える仕組みをつくることが、私の仕事です」と自分の役目を話す。

友田さんは七尾街づくりセンターの司令塔として、事業者からの「販路拡大のヒントが欲しい」「地域でブランディングがしたい」などの声に耳を傾け「まちの人たちみんなで楽しく頑張っていけるような仕組みをつくりたい。例えば夜遊ぶ所が無ければ、自分たちで交流の場をつくればいいんです」とまちの魅力アップにも思いを巡らせる。

「週3日程度ローカルベンチャーアテンダントとして活動するために市街地の空き家を購入しました。連休になると大阪で生活している家族が七尾へ遊びに来るので、みんなででか山を曳いたし、石崎奉燈祭も見に行く予定です」と、生活が充実していることを笑顔で話す友田さん。

地域住民が自分たちの力でまちを発展させられるよう、ビジネスにこだわらずいろいろな面白い企画を仕掛け、思い描いた七尾の将来像に向けて力を注ぐ。

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七尾に必要な人材を呼び込む

移住コンシェルジュ
太田 殖之(のぶゆき)さん

4年程前に、妻の出身地七尾に移住してきた太田さん。移住してからしばらくは能登定住・交流機構で能登に移り住みたい人のサポートをしてきた。もともと東京で地域づくりに携わって、田舎の地域活性化に興味があった太田さんは「移住希望者に能登全体を広く浅く紹介するのは大変だと感じていて、エリアを七尾に絞り、深く七尾の良さを発信する仕事に魅力を感じた」と移住コンシェルジュに応募したきっかけを話した。

昨年10月に着任し、移住希望者へのサポートや移住セミナー、交流イベントの開催、七尾の魅力発信などで移住希望者を呼び込もうと汗を流す日々。太田さんは「空き家はあるけどすぐに住める家が少なく、仕事もあるけど移住希望者が望む仕事が少ない」と感じている。「仕事の部分は友田さんたちに任せ、自分は移住者が希望するような空き家を紹介したり、実際に田舎暮らしを体験してもらったりして、七尾の魅力を感じてもらえるようしっかりと移住者を招き入れたい」と、さらに移住者を呼び込もうとギアを上げる。

「自分でいろいろなことができる、チャレンジできる七尾にしたい」と話した太田さん。自ら主宰する移住者の交流会『イジュトーーク』では、移住者のつながりを大切にし、そこで生まれたアイデアで地域を活性化できないかと知恵を絞る。また、この交流会には地域おこし協力隊や移住者の受け入れをサポートする人も参加し、それぞれがお互いの相談や悩みを解決し合っている。

「自然や食が良いのはどこの田舎も同じなので、どこに住んでも一緒。それならば人が良い所に人は住みたくなる。七尾の人は人懐っこく、お世話好きです。その人情こそ七尾の魅力」と、笑顔で語る太田さん。

地域を元気に、面白くするために、30年50年先につながる人を呼び込もうと、太田さんの視線は将来の七尾に向かっている。

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技術だけでなく会社の理念も想い(そい)継ぐ

ローカルベンチャーシニアマネージャー
浜田 宏勝(ひろかつ)さん

故郷の七尾を離れ、東京の福祉施設で多忙な日々を送っていた浜田さん。「子どもが塾や習い事で忙しい日々を過ごし、自分自身も朝早くから夜遅くまで働き、子どもと会話する時間はほとんどありませんでした。妻とは定年退職したら田舎で暮らそうと話していました。そんな時に、田舎暮らしのセミナーで出会った七尾の移住コンシェルジュの太田さんから『七尾には仕事はあるけど情報発信が下手。上手に情報発信し、事業承継をサポートする仕事に応募しませんか』と誘われ帰省を決心しました。自分が移住モデルとなり、移住希望者と後継者不足に悩む事業主をマッチさせる仕事に魅力を感じました」とUターンすることに。「七尾へ帰ってきた時に、ここの人と人との絆は変わらないと感じました。七尾の人は温かい」とふるさとの印象を話す。

浜田さんは、5月からローカルベンチャーシニアマネージャーとして、後継者や相続、経営に困っている事業主をサポートしようと奔走している。個人経営の会社を訪問し、事業承継オーケストラの取り組みを説明すると「確かに素晴らしいサポート制度や。けど、うちのことは気にせんといて」とやんわりと断られるそう。「後継者不足は決して恥ずかしいことではない。守り続けてきた事業を、いかに次につないでいくか一緒に考えたい。今まで守ってきたスキルを承継するにも時間がかかるので、気軽に相談してほしい」と熱く語る。

「たとえ個人事業主の商店であっても、地域にとっては大切な存在。簡単に廃業することは地域だけでなく七尾全体の衰退につながる。守ってきた大切な技術だけでなく、起業した時の理念も継ぐことで、もっと事業を発展させることができる」と事業承継の意義を捉えている浜田さん。七尾に必要な企業の大切な理念を、次の世代にしっかりとつないでいく。

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地場産業を守るため事業承継に期待

カキ養殖業
木村 功(いさお)さん

40数年前からカキの養殖業を営む木村さん。子どもは公務員の息子と嫁いだ娘の2人。子どもには好きな事をやってもらいたかったので、後を継いでもらうつもりは無かったと話す。

木村さんは「昨年、笠師保の方でも若い人が事業を引き継いだ例もあるし、七尾の定置網でも若くて優秀な人材が入ってきている。うちも本当にやる気があって、この地に腰を据えてくれる人に事業を継いでほしい」と、七尾街づくりセンターが取り組む事業承継に大きな期待を寄せている。

以前は100軒程あったカキの養殖事業者も今では50軒を下回る。ただ養殖するだけで良いという時代は終わり、販路の拡大や6次産業化などに取り組まないと生き残りは難しい。木村さんは「雇用の面でも50軒の事業者が2人ずつ雇えば100人の雇用になる。簡単に廃業してはこの中島の地域のためにならない。若い人が4、5人入ってくればカキの養殖もまだまだ発展する可能性はある。継いでくれる人には、自分と一緒にやって少しずつ覚えてもらうつもりでいるし、もちろん協力は惜しまない」と、後継者の育成に意欲を示す。

「後継者不足は中島だけの問題ではなく、日本全国どこにでもある問題。地場産業の衰退が一番の心配だ。このカキ養殖業を引き継いで、中島の大切な地場産業を守り続けてほしい。カキの産地として残っていくためには、人を残すことが必要だ」と語る木村さん。40年以上携わってきた中島の地場産業を守るため、廃業ではなく事業承継を選択し、次の世代を担う「人財」を待ち望む。

お問い合わせ

所属課室:企画振興部広報広聴課

〒926-8611石川県七尾市袖ケ江町イ部25番地

電話番号:0767-53-8423

ファクス番号:0767-52-0374

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