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広報ななお
七尾ごころ
平成29年(2017)年8月号 No.155
創業特集~夢の実現へ一歩踏み出す~
全国的に、少子高齢化や景気の低迷、生産人口の減少などさまざまな要因で事業所が減少している。市でも、今から約20年前に5,000件を超えていた事業所が、平成26年に3,516件と3割も減少し、深刻な状況である。
事業所が減ると働く場が少なくなり、働きたい人が職を求めて市外へ流出し、人口が減る。人口が減ると消費が少なくなり、働く場がさらに少なくなるという負のスパイラルが起こり、地域経済が衰退する。
こうした状況を改善すべく、平成26年1月22日に七尾商工会議所、のと共栄信用金庫、日本政策金融公庫、七尾市による「ななお創業応援カルテット」を発足した。全国で初となる「創業支援事業計画」の第1回認定を受け、平成28年12月には能登鹿北商工会も加わり、各機関の垣根を越えて創業者を支援し、平成29年6月末までに58件の創業実績を残している。
地域に新たな活力を生み出す可能性を持っている「創業」。若い世代が誇りを持って七尾に住み続けるために、安心して働ける場の一つとして、今着目されている。今回は、市の補助制度を利用して創業した人たちの声を紹介する。
ワンストップで創業の段階に応じた豊富な支援メニューを提供
七尾商工会議所・能登鹿北商工会、のと共栄信用金庫、日本政策金融公庫、七尾市が官民一体となって連携し、それぞれ有する支援メニューや創業者のニーズなどを情報共有して、創業初期段階から創業後まで支援している。
【七尾市スタートアップ事業補助金】
市内の空き店舗などで創業を行う事業者に、出店に要する経費の一部を支援する(上限200万円)
平成29年4月合宿拠点施設オープン
One☆Day☆Fam(ワン・ デイ・ファム)(石崎町)
宮谷 政己(みやたに まさみ)さん
子どもたちの夢を支える。
七尾で初めて、和倉温泉運動公園のすぐそばにスポーツ合宿や研修などができる宿泊施設を開業した宮谷さん。
「息子がサッカーをしていて、試合に同行するうちに、いつか自分もサッカーグラウンドや選手がスポーツに集中できる施設を運営することが夢となりました。スポーツする子どもたちを応援したかったことと、チームの監督や選手の声を形にしたいと思っていました」と創業した理由を話した。
金沢市役所の資産税課で家屋調査を長く担当していた経験を生かし、図面は自分で作った。図面には、金沢でサッカークラブの役員を務めた時に知り合った多くのサッカー関係者からのアイデアを取り入れた。
「長男が就職し、次男も大学に進学して2人とも家を離れたので、公務員を退職してやりたいことがあると妻に伝えたら大反対されました。でも、すでに事業計画を立てていたので『融資を受けるための相談に行く時、一緒に銀行に行って欲しい。そこで駄目と言われたら諦めるから』と説得しました。銀行で事業計画を説明すると反応も良く、妻も創業を認めてくれました」と創業へのスタートを切った宮谷さん。
「銀行で紹介されたカルテットに相談しながら準備を進めていきました。反対していた妻も、スポーツフードアドバイザーの資格を取るなど協力してくれ、ようやく開業にこぎつけました。小さいながらもフットサルコートを作り、念願の夢をかなえました」と創業までの思い出を振り返った。
「利用しやすい宿泊施設があれば、サッカーやテニスなどの全国規模のイベントが継続して開催され、地域がにぎわい活性化につながります」と語る宮谷さん。笑顔のおもてなしと心のこもった接客が、選手の疲れを癒している。
平成29年2月ガラス工房オープン
kota glass(コータ グラス)(能登島曲町)
有永 浩太(ありなが こうた)さん
こだわりの工房で創る。
金沢の工房などで腕を磨き、能登島に移り住んでガラス工芸品を作る有永さん。
「工房はおばさんが住んでいた空き家を自分で改装しました。図書館で勉強したり、先輩の作家に話を聞いたりして、自分が作業しやすいようなこだわりの工房を作りました」と話した。
「創業する前に近所の知人から『カルテットを利用すれば地元の人とのつながりができるよ』とアドバイスをもらい、銀行に相談に行きました。資機材などの設備に多額の費用がかかるため、市の補助制度を利用できたのは資金面でも助かりました。また、創業者同志の交流会でつながりも生まれ、新たに開店したご夫婦のレストランに行くことを楽しみにしています」と笑顔を浮かべた。
「能登島での工芸活動は、ほどよく同業者が居て、ガラス作品の製作には向いています。東京で展示会をする時は、のと里山空港からすぐに行けるので便利です」と島での生活に不便さは感じていない様子。
「工房は作業しやすいように今後も手を加えていきます。民家の一角に作り上げた工房は珍しいので、これから工房を持ちたい人の参考になれればと思います」と意気込みを語った。
今年からクラフトキャンプの運営に携わるなど子どもたちへの啓発活動にも取り組む有永さん。クラフト作家の移住モデルになって、この島に若いクラフト作家が増えることを期待している。
七尾湾の静かな波の音とさわやかな風が吹き込む工房には、今日も真剣なまなざしでガラスと向き合う有永さんの姿がある。
平成28年9月イタリアンレストランオープン
VILLA DELLA PACE(ヴィラ デラ パーチェ)(白馬町)
平田 明珠(ひらた めいじゅ)さん
夢はまだまだ続く。
豊かな自然に憧れて東京から七尾へ移り住み、長年の夢だった自分の店を開店した平田さん。
「23歳から東京で修業していましたが、30歳で独立すると決めていました。勤めていたレストランで七尾の食材を使っていたことから七尾の人と知り合い、カルテットを紹介してもらいました。そこで相談に行ってみると、銀行や行政のサポートがしっかりしているなと感じました」と創業した理由を話した。
「経営面でも、都会に比べると賃貸保証料などの初期投資や家賃などの固定経費も抑えられ、東京よりも創業しやすく、長く続けられると思いました。食材は魚だけでなく、肉や野菜も豊富で、食材を生かした料理を自由に表現できます。これだけ恵まれた所は他にはなく、充実した仕事ができると思いました」。
どんな店にしたいか尋ねると「地元の食材にとことんこだわった料理を提供したいです。市内のお客さまだけでなく市外へもどんどんアピールし、七尾に人を呼び込みたい。地元のお客さまの来店される機会が少なくても、地域に貢献できる店を作りたいです」と熱く語った。
最後に次の目標を聞くと「宿泊施設を併設したレストランを開きたいです。できれば鶏を飼ったり、農園を作ったり、ワインも作ったりしたい。小さな村みたいなイメージですかね」と目を輝かせて話した。
平田さんは次の目標を原動力に厨房で腕を振るい、思いのこもった料理を振る舞う。
能登島ゲストハウス葉波(はなみ)(能登島向田町)
福嶋 葉子(ふくしま ようこ)さん
いよいよ夢が実現する。
8年ほど前に金沢から七尾に移り住み、地域の活性化につながる仕事をしながら、いつかゲストハウスを経営できればと夢を見ていた福嶋さん。
創業を決心したきっかけを尋ねると「昨年の夏に民宿が売りに出ていたので話を聞くと、民宿で使っていたものは置いていくつもりと言うので、それを利用すれば、布団など一から準備する初期投資の負担が少しは減らすことができると思いました」と話した。
海外を旅行する時に、外国人と交流するためにゲストハウスを利用していた福嶋さん。最近はなかなか海外へ旅行することができず、それならばゲストハウスを自分で経営することで外国人旅行者が集まる場を設けようと思ったことも創業しようとしたきっかけの一つだった。
「いざ工事を始めると屋根裏が雨漏りしていたりと想像していた以上に直す箇所が増えてきました。防火設備の検査や宿泊施設の開設の許可申請など、もう少しやらなくてはならないことがあります」とオープンに向けて多忙な日々を送っている。
「子どもからお年寄りまで地域の人と外国人が楽しく交流できる場所にしたいと思っています。お酒や料理などを持ち寄って、気軽に集まれる心地よい空間を提供したいです」と将来像を思い描く。また、ゆっくりと滞在できるよう、連泊する人の料金を割り引くなどの旅行者の立場に立ったアイデアも温めている。
福嶋さんの手によって民宿からゲストハウスに生まれ変わった空間が、旅行者や地域住民を笑顔にする。
あなたの夢をカタチにする充実したサポートがあります
関心、着想、決意、準備、創業、成長軌道へ、モニタリング
創業塾は、創業準備から事業アイデアの具体化、個別研究や事業成功の要点を学びます。
さらに創業相談会や専門家派遣による個別支援も行い、創業の実現に向けて強力に後押しします。
募集定員/20人(途中から受講可)
受講料/5,000円(税込・10講座分)
会場/七尾商工会議所
開催日/8月26日、9月30日、10月28日、11月25日
時間/午前10時~午後4時)
期間/8月5日~11月25日(要予約)
創業塾受講予定者の声(7月15日開催創業応援セミナー参加者)
お問合せ 産業振興課 電話番号53-8565 七尾商工会議所 電話番号54-8888