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更新日:2018年6月5日

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広報ななお
七尾ごころ
平成30年(2018年)6月号No.165

守り伝えたいふるさとの宝がある

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先人が残した宝
七尾城跡は今―

野面積みの苔むした石垣、本丸からの息を呑む景観、四季折々の自然の美しさ―。「城山」の愛称で親しまれる七尾城跡で当たり前のようにあった光景が、環境の変化で年々失われつつあります。先人たちが築き、守り続けてきた市の宝を残すために、何ができるでしょうか。一人一人がその魅力や価値を伝えていくことで、数十年後、数百年後の七尾城跡が変わるかもしれません。

七尾城跡は、戦国時代に能登畠山氏が築いた山城で、日本五大山城、日本100名城にも選ばれた本市が誇る歴史遺産です。
市では、今後の七尾城跡の保存や活用、整備の方針を示した「史跡七尾城跡保存活用計画」(以下「計画」とする)を今年3月に策定しました。この計画は、市民と行政が連携して、七尾城跡の価値を「守り」・「学び」・「楽しみ」ながら、次世代に確実に伝えることを目指すものです。
今、七尾城跡の来訪者数は、交通アクセスの向上や近年の城ブームなどにより大幅に増えています。さらに、能登立国1300年の今年10月に開館する「のと里山里海ミュージアム」で、航空レーザ測量の成果を活用した七尾城跡のジオラマ模型が公開されることから、ますます注目を浴びることが予想されます。こうした中で、市の宝である七尾城跡が持つ史跡や自然などの価値を守り、より多くの人に知ってもらうためにも、七尾城跡がどのような課題を抱えており、何をしていく必要があるのかを理解することは大切なことです。

遺構保存に警鐘

七尾城跡は、戦国時代の山城(城郭)と城下(町並み)の遺構がセットとなって良好な状態で保存されてきた、全国的にも数少ない遺跡です。
一方で、将来に向けて保存や活用をしていく上では、さまざまな課題を抱えています。地震や大雨などの自然災害で石垣が崩れる被害や野生動物(イノシシ)による被害がたびたび発生し、遺構の保存に影響を及ぼしています。また、城下の遺構が地域住民の生活圏に及ぶこともあり、インフラ整備などに伴う開発行為の影響で、地形が徐々に変化し遺構が失われつつあります。そのほか、山林の荒廃やごみの不法投棄により、七尾城跡の魅力の1つである本丸からの眺望や山林の景観保全にも影響が出ています。

市民と行政が連携して守る

七尾城跡を安定的かつ長期的に守っていくためには、市民と行政が一体となって保存と活用に取り組んでいく仕組みを作る必要があります。
自然災害などによる遺構損傷の進行を防ぐためには、地域住民と行政が連携して遺構を保護していくことが大切です。また、被害を最小限に抑えるためには、日頃から遺構の現状や変化を的確に把握しておく必要があります。そのため、行政による日常的なパトロールだけではなく、地域住民や観光ボランティアの目も不可欠になります。
また、七尾城跡の景観を守るために、除草や樹木管理などの日常管理も実施していかなければなりません。具体的には、木製チップを散布したチップ道は歩きやすさや雑草対策の面でも評判が良いので今後延伸することが望ましいのですが、年一回取り替える必要があるなど管理や経費の面で課題があります。

未来に残すために今できること

七尾城跡は市の宝であると共に、郷土の証しでもあります。七尾城跡の価値を将来にわたって守り伝えていくためには、これまで実施いただいている市民ボランティアの取り組みを拡大しながら、より多くの人に七尾城跡の魅力に触れていただくことが大切です。市民の皆さんが楽しみながら学びや気付きを深め、七尾城跡の価値を次の世代に伝えていくことができるように、今後も幅広く情報を発信していきます。

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気さくな人柄と高い向上心でまちの誇りを伝える
笑顔とおもてなしの心で七尾城跡の魅力を届けたい

七尾市観光ボランティアガイドはろうななお
会長 佐野 藤博さん

はろうななおは結成して今年で24年目を迎えます。会員の大半は70歳前後で、24人のガイドが年間1万4千人以上の観光客に市内の名所の魅力を伝えています。
城山への来訪者は大河ドラマや城ブームに乗って一気に増加し、私たちが案内したお客さまの人数も、平成28年度は約3900人だったのが、平成29年度は8800人を超えました。毎年4月から6月にかけて来訪者のピークを迎え、今年の大型連休のうち5月5日は1日で300人以上も訪れています。
私たちが七尾城跡の素晴らしさをより多くの人に伝えようと、4月下旬から10月末までの土・日、祝日の無料ガイドを始めたのは4年前です。男女問わず幅広い年齢層の人が訪れ、歴史や城にどれだけ精通しているかもさまざまですから、お客さまの様子を見ながら話し方や内容などを変えられるスキルが必要になります。また、能登全体の歴史や地理、城山の生態系も知らなければ深みのある話ができませんから、学習を重ねてそれぞれスキルアップを図っています。大手旅行会社からのガイド要請も年々増え、ガイド一人一人の向上心と熱意が届いているのかなと感じています。
私自身が感じる七尾城跡の魅力といえば、本丸からの景観はもちろん、従来の城跡のイメージそのままに、何ら手が加えられずに残されているという歴史的価値でしょうか。遺構の配置からも11代169年続いた能登畠山氏の安定した治世が垣間見え、大小の石がバランスよく、かつ耐久性も十分に考慮されて積み上げられた4層4段の石垣は、当時、石工などの優秀な職人や文化人が京都からこぞってやってきた畠山文化の栄華を感じさせます。この魅力を限られた時間で余すことなく伝えるために、分かりやすさや気を引く会話、アドリブも取り入れながら案内し、最後にお客さまから「ありがとう」と握手を求められたり「また家族や友達を連れて来るね」と言っていただけたりするとガイド冥利に尽きるものです。これからも観光客の皆さんに良い思い出を作ってもらえるよう、私たちとのひとときを飽きさせずいかに楽しく過ごしてもらえるかを考えながら、ガイドを続けていこうと思います。

(写真説明)
ガイドは観光地という材料をおいしくする調味料のような存在という佐野さん。高齢化によるガイド不足は観光地のにぎわいの衰退につながりかねないと危機感を募らせている。

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77回目を迎える七尾城まつりの企画・運営を受け継ぐ
変わる城山、変わらない城山どちらも大切にしたい

矢田郷地区青壮年会協議会
会長 田中 孝昌さん

青壮年会協議会は公民館(現まちづくり協議会)が行っている清掃活動への協力のほか、毎年9月中旬に開催している七尾城まつりでは主力となって企画や運営を行っています。七尾城まつりは昭和17年から住民有志が受け継いできた伝統ある祭りです。地域住民が城山への愛着を深める機会になるようにと、本丸付近を主会場に大人から子どもまで楽しめるイベントを開催しています。ここ数年は悪天候のため城山体育館での開催となりましたが、お年寄りや小さな子どもがたくさん訪れ、展示ブースも多く設営できるなど「城下町のにぎわいを再現するまつり」という新たな構想が芽生えるきっかけとなりました。時代の流れやニーズに合わせて内容を少しずつ変えながら、より多くの人が城山に訪れる機会を作っていければと思います。
私個人としましては、5年程前からトレイルランを始め、週1~2回城山を登っています。もともと体力を付ける目的で始めて、多い時は6~7往復しているのですが、四季折々に変化する城山の景観や自然に心打たれています。春から夏にかけては緑の濃淡が美しく、秋が深まって空気が澄んでくると同じ景色も違って見えてきます。水ぶきやタラの芽などの山菜を探したり、鳥のさえずりに耳を澄ませたりと、自然と対話するという新たな楽しみを得たことで、協議会活動への思いも一段と深まったように感じます。
七尾城跡の調査は今後も進めてほしいですし、市のシンボルとしてさらなる活用が必要だと思う一方で、地元住民としては大切な地域の宝がむやみに踏み荒らされたくないという思いもあります。観光地としての部分と保護するべき部分をしっかり分けて、変わらない城山の心地よさも残ると良いなと思います。

(写真説明)
本丸駐車場までしか車は乗り入れられず、会場の設営は大変な作業。メンバーの結束力が欠かせない。

(写真説明)
第74回七尾城まつり。住民有志が多彩なイベントを繰り広げ、城山ににぎわいを生み出してきた。

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地域住民一丸となった清掃活動七尾城山道路愛護クリーン大作戦を実施
地域を挙げて美しい城山を取り戻す

七尾市不法投棄監視員 川淵 正さん

平成21年から市の不法投棄監視員として矢田郷地区を月2回パトロールしています。地域の方から不法投棄情報を収集する中で、平成28年3月に七尾城山を愛する会の国分事務局長(現会長)から、城山の不法投棄が大変多いという相談を受けました。早速見に行ったところ、脇道や崖下に想像をはるかに超える量の不法投棄物が散在していたのです。
この悲惨な状況を目の当たりにし、永田公民館長(現コミュニティセンター長)と大河まちづくり協議会長に、毎年4月の第3週に行われている城山開山祭の前日に、地域を挙げて清掃活動を行いませんかと提案しました。「きれいになった城山へたくさんの人に訪れてもらいたい」。その思いの輪が広がって、関係者が重機や軽トラックを出してくれることになり、クリーン大作戦の企画に至りました。地区のさまざまな総会で参加協力を依頼し、天神山小学校や七尾東部中学校にもチラシを作って声掛けし、当日は初回にも関わらず200人近くのボランティアが集まりました。
作業で集まった不法投棄物はタイヤ約200本、その他のごみを合わせるとトラック十数台分にもなりました。1日で全て回収することはできませんでしたが、2年3年と続けてきたことで徐々に量が減ってきたのが目に見えて分かり、参加者全員が手応えを感じています。また、地域のために役立とうと、崖下を果敢に下りてごみを拾う生徒や、きびきびと分別作業に当たる児童の姿は見ていて頼もしく、とても感心しています。
不法投棄を完全に取り締まったり、ごみをゼロにしたりすることは難しいですが、みんなで力を合わせてきれいにした城山にたくさんの観光客が訪れている様子を見ると、やりがいを感じます。私たち地域住民が昔から慣れ親しんできた城山の美しい景観を保てるよう、これからも活動を継続していこうと思います。

(写真説明)
事前に下見をして、ごみの多いポイントを手作りの地図に書き示している。

(写真説明)
冷蔵庫やテレビなどの大型家電のほか、タイヤなど処分費の掛かるごみが崖下に捨てられている。足場の悪い場所での作業は危険と隣り合わせだ。

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七尾城山道路愛護クリーン大作戦に参加
城山を守る地域の皆さんの力になれた

天神山小学校5年生
呉山 優太さん、矢田 栞音(かのん)さん

呉山 優太さん

3年生の時から家族とクリーン大作戦に参加しています。城山は地域の皆さんが協力してきれいにしている大事なものなので、自分も頑張るぞという気持ちで今年も取り組みました。冷蔵庫やテレビなどの粗大ごみは重たくて、持ち運ぶのに苦労しました。中学生になっても参加し続けてきれいな城山を守りたいです。

矢田 栞音さん

金属のごみがさびていたり、虫もたくさんくっついていたりして作業は大変でしたが、ごみが片付くと城山がきれいになったんだなと清々しい気持ちになりました。冷蔵庫などの大きなごみが捨てられていて、何でこんなことをするのかなと信じられない気持ちです。地域の人が一生懸命取り組んでいたので、これから七尾城まつりやあかつき登山で城山のことをもっと知りたいと思います。

(写真説明)
2年前の8月11日(山の日)には、ごみの多いところに児童が描いたポスターを使った看板を設置した。

(写真説明)
分別作業に汗を流す5年生。腐臭や舞い上がる砂ぼこりにも臆せず作業に当たる。

遊歩道の木製チップ散布に参加
たくさんの人に七尾城跡を訪れてほしい

七尾高等学校2年生
白江 惠さん、山本 早恵さん、安田 有容弥(あゆみ)さん

初めて七尾城跡を訪れましたが、登山中に山の隙間から見える市街地がとてもきれいで、自然の豊かさも楽しみながら登りました。木製のチップは香りが良く、散布することで歩きやすくなるので、たくさんの人に訪れてほしいと思います。そして七尾城跡の素晴らしさがもっと広まることで、地域の皆さんの力になれればうれしいです。

(写真説明)
2年生240人が遊歩道約54メートルにぬかるみを解消する木製チップ700キログラムを敷き詰めた。

お問い合わせ

所属課室:企画振興部広報広聴課

〒926-8611石川県七尾市袖ケ江町イ部25番地

電話番号:0767-53-8423

ファクス番号:0767-52-0374

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