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2年ぶりの能登演劇堂での公演となる「左の腕」。名誉市民でもある仲代達矢さんは「ただいま」と笑顔をのぞかせ、役者70年の節目を迎えた心境などを明かしました。
運が良く、大病もせずここまでこられました。自分でも不思議なくらいです。映画や映像の世界にどっぷりと漬かろうかと思ったこともありますが、演劇をしたくて役者を志しました。役者の、芝居の力で観客に訴えられるのが演劇。だから70年続けてこられました。
私は、原作の松本清張先生の大ファンで、前進座の大好きな中村翫右衛門(かんえもん)さんが演じた作品でもあるので、挑戦したいと思いました。
この作品は、人間の犯す過ちについて考えさせてくれる作品です。私の演じる卯助(うすけ)は、過去を暴かれることによって、自分に足りなかったものに気付き、過去の傷跡から再生していきます。
過去に一度罪を犯した人間を寛容に受け入れることができるのか―。戦争が起きる不寛容な時代だからこそ、演じる意義があると思いました。皆さんはどうご覧になったでしょうか。
90歳になろうとする中で、どこまでやれるか。引退とは申しませんが、隠居の世界に入るのかと思っています。これから全国を巡ります。今はこの舞台をやり切ること以外は考えていません。
七尾に来る時は、ふるさとに帰ってきたという思い。「ただいま」と言わせていただきたい。長年、この能登演劇堂から公演をスタートするのは、都会と地方の人口の格差が年々広がることへの私の意地のようなものもありますが、能登演劇堂は演劇をする上で最高の劇場です。ここでお客さんにきちんと伝えることができれば「まだ自分も大丈夫だ」と思えるのです。
私たちの携わる演劇などの芸術は、人の心を豊かにするためのものです。人間の心が豊かになっていけば、私たちの住む社会もまた変わっていきます。お互いにそれを信じて、諦めることなく力を尽くしていきましょう。
仲代達矢さん役者70年の、集大成の舞台として注目された「左の腕」が11月28日、能登演劇堂で千秋楽を迎えました。
12月で89歳となった仲代さんは、足腰の鍛錬に欠かさず励み、先輩から教わってきた「一、声二、振り三、姿」という教えのとおり、一番後ろの席までよく通る声で、殺気あふれる殺陣を見せるなど年齢を感じさせない壮健な姿で、全13公演、延べ6,276人を魅了しました。
カーテンコールでは、舞台奥の扉が開き、紅葉した木々と揺らめく明かりを背景に出演者があいさつ。観客の皆さんは、その場から離れがたそうに何度も拍手を送り、会場は感動に包まれていました。
仲代さんの役者の生きざまを見せつけられたようで、感動しました。
1時間半があっという間で、涙が止まりませんでした。
仲代さん本当に良い演技でした。他の皆さんも力演で、すばらしかったです。
能登演劇堂ならではの演出が見たくて東京から足を運びました。
舞台奥の扉が開く演出は、自然の風景が絵になっていて感動しました。
仲代さんは七尾市の宝、日本演劇界の宝です。