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更新日:2017年12月5日

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広報ななお
七尾ごころ
平成29(2017)年12月号 No.159
「最後のつもり」で熱演

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仲代達矢(なかだいたつや)

反戦の思い 能登から発信

俳優の仲代達矢さんが主宰する無名塾の第6回ロングラン公演「肝っ玉おっ母と子供たち」が能登演劇堂で行われ、主演を務め29年ぶりに女役を演じた仲代さんの鬼気迫る演技が観客を魅了した。この作品はドイツの劇作家ブレヒトの反戦劇で、戦火を渡り歩き、がむしゃらに生きた主人公アンナが、戦争で3人の子どもたちを次々と奪われていく物語。
仲代さんは、10月14日から11月12日までの全25公演に命を燃やした。客席を埋めた延べ1万4200人は、全ての公演で全身全霊をささげた仲代さんの演技に心を奪われ、満席の会場には感動の拍手が連日鳴り響いた。

全公演を終えた仲代さんに話を伺った。

公演に込めた思い

俳優生活を60年以上やっていて、12月で85歳を迎える。最後のつもりで臨んだこの公演では物語や演劇を通じて反戦のメッセージだけではなく、演劇の面白さと平和を訴えようと思った。

公演を終えて

平和の尊さや戦争のむごさを、戦争を知らない世代に戦争体験者として芝居を通じて伝えたいと思い演じた。今はほっとしている。

85歳を前に

80歳を過ぎて体力や記憶力が衰えてきたと感じている。せりふを覚えるにも若者が1カ月で覚えるところを3カ月かかる。お客さんに恥ずかしい姿を見せてはいけないと思っている。役者として動ける間は、一生懸命頑張りたい。

演劇を続けてきた原動力

60数年の俳優生活は休む暇もなくやってきた。世の中の移り変わる様や人間とは何かを追求し、お客さんに感動を与えたいという思いで長い間続けることができた。

能登中島への思い

海の幸、山の幸はもちろん、別所岳からの能登半島の絶景にびっくりした。そして、この演劇堂は世界で一番の劇場だと思っている。1年に1回はここで公演し、全国を回るスタート地点にしたい。

市民の皆さんへのメッセージ

初めて能登を訪れた時に、美しい国だ、黒い瓦に白い壁の家のたたずまいが素晴らしいと感じた。また、公演期間中は一軒家を借りて生活しているが、近所の人が採れた野菜を玄関の前に置いてくれたりと素晴らしい人柄で、能登の人の人情にほれた。第2のふるさととして大切に思っている。

仲代さんは演劇に込める思いや俳優としての生き様を語り、最後に「もう少し頑張りたい」とほほ笑んだ。

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平和の尊さ伝える

ロングランの演目として、できる限りエンタテイメントの要素を取り入れ、誰もが楽しめる作品に拵(こしら)えあげましたが、かと言って、人間がもつ滑稽さや矛盾などのリアリティを疎(おろそ)かにしたつもりはありません。声高に「戦争反対」を叫ばずとも、この作品はしみじみと平和の尊さを謳(うた)いあげた作品だと思います。私たちは演ずる役や作品によってしか、何かを表現することはできませんが、最後の戦争体験世代の遺言のようなものかもしれません。
仲代達矢

市民の手で盛り上げる

公演には、多くの市民が携わった。
無名塾の能登入りには、のと里山空港で多くの市民が出迎え、横断幕や外雷太鼓の力強いばちさばきが歓迎ムードを高め、メンバーの児童が仲代さんに花束を手渡した。また、中島地区の6公民館による歓迎会を豊川公民館で開き、仲代さんらに郷土料理を振る舞った。
中島中学校の生徒は、演劇堂の清掃や会場案内のボランティアに参加したり、出演者との交流会で発声方法などを教わったりした。
全ての公演に延べ500人の市民が兵士役のエキストラとして参加し、武器や旗を手に外舞台に立ち公演を盛り上げた。

全25公演でエキストラの隊長を務めた
山下敏博さん

前回の「ロミオとジュリエット」の公演にもエキストラとして参加しました。だんだんと回を重ねていくうちに生まれる、エキストラの一体感が忘れられません。

会場案内のボランティアをした
本谷優治君

こういう経験ができるのは今のうちだけと思い参加しました。人の役に立つことができたということはとてもいい経験になりました。これからもこの経験を生かしたいです。

お問い合わせ

所属課室:企画振興部広報広聴課

〒926-8611石川県七尾市袖ケ江町イ部25番地

電話番号:0767-53-8423

ファクス番号:0767-52-0374

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