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更新日:2013年8月6日

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特集七尾×無名塾いよいよ始動!「ロミオとジュリエット」序章。

平成9年から4年ごとに開催されている、能登演劇堂のロングラン公演。今年はその第5回公演が行われます。ひと足早く幕を開けた稽古から、この舞台に関わる人々の情熱が伝わってきました。

第5回能登演劇堂ロングラン公演 無名塾「ロミオとジュリエット」の開幕まで、残り2カ月を切った。開幕に向け、着々と準備が進み、台本、そして演出が仕上がった。あとは舞台に立つ無名塾の役者たちが、完成した台本や演出から奏でる表現を、最高のパフォーマンスで演じるのみとなった。

7日、東京都世田谷区にある仲代劇堂(仲代氏宅)で、いよいよ「ロミオとジュリエット」の稽古が始動した。

初稽古ということもあり、スタッフを含めた、関係者約人が参加。役者からは自己紹介60を兼ね、公演に挑む意気込み40も語られた。

無名塾主宰仲代達矢氏はあいさつで「今年は無名塾が立ち上がって年、私自身役者に40なっ年となります。そういった思いも込め、ロングラン公演を成功させたいと思います」と語った。また、激励に訪れた不嶋七尾市長は、「初稽古が行われると聞き、七尾市から激励に参りました。チケットの販売も好調で、全国からお客さんが訪れようとしています。ぜひ、七尾市から全国に素晴らしい感動を与えていただきたいと思います」と話した。

無名塾の神聖な場、仲代劇堂で、張りつめた雰囲気の中始まった本格的稽古。役者がすべてそろうのは初めてだったため、台詞の読み合わせから。そろった役者は人。皆、これまでに幾度となく台本を読み込んできたのであろう。振付はないものの、最初から本番さながらの雰囲気の中で、一字一句、すべての文字に心を込めて台詞を語っていた。休みもなく、一気に読み上げる役者たち。聞い19ているだけでも壮大な舞台の様子が浮かんでくる。無名塾の真骨頂がうかがえた。

今回のロングラン公演では、どんな演劇を見せ、感動を与えてくれるのか。幕開けが非常に楽しみである。

演出高瀬久男さん

今回の見どころは人間愛です。私は、仲代達矢さんや無名塾と一緒に仕事をするのは今回が初めてなので、基本的な演出プランはできていますが、これからの稽古を見ていきながら、皆さんのいいものを引き出すよう、修正していきたいと思います。

「ロミオとジュリエット」は世界でも有名な作品です。悲恋の物語であることは、皆さんもご存知だと思います。ですから、誰もが知っている物語を演じても面白くないですよね。そうしたら、どう演出をしなければならないのかということを考えなくてはなりません。この物語は、人が死んでいきます。そんな世の中とは、どんなものなのだろう。現在も物騒ですよね。昔も今も、死ぬことでしか解決できないものがあるのではないかと考えます。だからといって、難しい物語にしたいというのではなく、人は失って後悔するということが今も昔も変わっていません。そんな中で、主人公であるロミオとジュリエットが尊い命を犠牲にした場面が、お客さんの心にしみるような演出になればいいと思います。

また、物事を分かっていると思っている大人たちがどれだけ理解できないものなのかというところを表現したいですね。

そして、ただかわいそうな物語で終わるのではなく、どうして死を選ぶのかという純真な心も伝えたいと思います。昔から、大人の社会っていつも争っていますよね。大人になるとそのようなことは理解できなくなってきますよね。そんな対照的な場面をはっきり演出できたらと思います。

その辺りがこの公演の見どころでしょうか。楽しみにしてください。

「ロミオとジュリエット」直前緊急インタビュー

無名塾主宰:仲代達矢さん

いよいよ、能登演劇堂で第5回目となるロングラン公演が始まります。今回の舞台に込められた思いや能登演劇堂ならではの見どころを稽古真っ最中の仲代達矢氏に聞きました。

特集七尾×無名塾いよいよ始動!「ロミオとジュリエット」序章。

七尾市の美しい景色と温泉を楽しみ、素晴らしい劇場で芝居に感動する心に残る演劇の旅を贈りたい。

ついに5回目のロングラン公演が始まりますね。

はい。演目は「ロミオとジュリエット」です。北から南まで、言わば日本列島全体から来られるお客さんに、素晴らしい劇場で感動する演劇を見てもらい、心に残る演劇の旅にしてもらいたいと思っています。七尾市には風光明媚な景色や温泉などの自然資源が整っているので、後は私たち役者がお客さんに感動を与える芝居ができるかが重要。これから全力を挙げて、「ロミオとジュリエット」の芝居を作っていきます。

ロミオ役に進藤健太郎さん、ジュリエット役に松浦唯さんを配役した理由は?

役者は、キャリアがあるから芝居がうまいという訳ではありません。キャリアが短くても優秀な役者には才能があるんです。今回主役に抜擢した二人には、持って生まれた才能を感じました。さらに毎日の訓練を重ねて、この役をこなしてくれるだろうと期待しています。そして、同世代が演じる芝居としてぜひ若い人にも見てもらい、刺激を受けてほしい。そこも見どころの一つだと考えています。

今後のスケジュールは?

7月20日に稽古をスタートさせ、初日1週間前から七尾市で舞台稽古を始めます。能登演劇堂での25回公演が終われば九州へ。そして全国各地を回り、合計110回の公演を行います。私たちの夏は七尾市から始まるんですよ。

注目のシーンは?

やはり舞台後方の扉が開き、中島地区の山や原っぱも舞台として取り込む場面でしょうね。そして、市民エキストラ。皆さんがずらりと並んでいる光景は、演じる側の私も毎回感動ものです。私たちはプロですから舞台中央で演じますが、私たちを助けてくれるのは市民の皆さんです。皆さんの協力がなければ、「ロミオとジュリエット」の成功はないでしょう。今回もこれまで同様、市民と作り上げる演劇でありたいと思っています。

ロングラン公演にかける意気込みを聞かせてください。

私は、今年で80歳になります。これまで、私が無名塾の芝居のタイトルロール(主役)をやってきましたが、もうそろそろ次世代に手渡す時期にきていると考えています。そういう状況の中で、これからの無名塾にとって今回の「ロミオとジュリエット」は本当に意味のある作品になることでしょう。座頭として若者中心の舞台となるように、支えていくつもりです。

今は、インターネットやDVDなどでも演劇を見ることができる時代です。しかし、ライブに勝るものはありません。お客さんに劇場へ足を運んでいただくために、その魅力を伝えるものを作りたい。そのために開演までの期間、一生懸命稽古していきたいと思います。

七尾市民の皆さんへ

地方に最高の劇場があり、演劇を見るために、全国からお客さんが訪れようとしています。もちろん、地元の人も来てくれます。日本各地からお客さんが集まり、市民とともに演劇を作る、これはほかの地域ではできない体験です。 だからこそ、私たちは面白い芝居を演じたいと思います。市民の皆さんには、ぜひいろいろな面で協力していただければと思います。今回も、どうぞよろしくお願いします。

特集七尾×無名塾いよいよ始動!「ロミオとジュリエット」序章。

それは偶然の出会いからはじまった必然のドラマ

能登演劇物語【最終幕】

「小さな町の大きな挑戦」、「仲代さん高水準に満足」なしい見出しで報じられた第1回ロングラン公演「いのちぼうにふろう物語」。予想を超える大結果、能登演劇堂は全国から注目を集め、仲代達矢氏名塾が行う年10回程度の公演のほか数々の作品が上演されると、県内外から観客が訪れるようになり「もはや全国区」と評ほどとなった。

成功を収めた演劇ホール次回作を望む声が高まるのは言うまでもなく、第1回ロングラン公演の4年後、新世紀が幕を開けた平成13年に第2回公演を行うことが決定した。演目として選ばれたのは、「ウインザーの陽気な女房たち」。無名塾初となる喜劇に込められた「これまでは重量感のある舞台が続いてきたが、私たちは悲劇と喜劇は裏表にあるとえている。今度はお客さんに楽しんでいただける題目を考えたい」という演劇や観客に対する深い思いが見事に実を結び、23回の公演で約1万5000人を動員。外舞台に馬が登場する迫力ある演出や、妖精の衣装をまとった旧中島高等学校演劇コースの生徒54人延べ700人余の堂々とした演技に観客は魅了され、「さすが演劇堂の芝居。全国的にも超一流。地元の人自慢してください」、「また来ます、また来たい」といった感動や激励の言葉がこれまで以上に寄せられた。

第3回ロングラン公演は、七尾市と田鶴浜町、中島町、能登島町の合併の祝賀的意味を持った舞台として、多くの市民に喜ばれるものをと「いのちぼうにふろう物語」を再演。ある調査で石川県内におよそ4億円の経済効果をもたらしたといわれ、新生七尾市の門出に大輪の花を添えた。一歩ずつ着実に地域に根付き、全国への発信拠点としての役割も担うようになった能登演劇堂。そして物語はいよいよ、その歴史を振り返る中で外すことができない第4回公演へと進んで行くのである。

平成19年3月。「マクベス」公演を検討していたさなか大きな地震が能登半島を襲った。仲代氏は能登復興の祈りを込め年間約130回の全国巡業を取りやめ、能登限定50回の「マクベス」公演を提案。この申し出に、スタッフたちはありがたいと感じながらも、地震を経験し風評被害も心配される能登に本当に観客が来てくれるのだろうかという大きな不安を覚えたのも事実だった。

実はこの「マクベス」には、仲代氏の特別な思い入れがあった。能登演劇堂のこけら落とし公演に一番ふさわしい演目ではないかと今は亡き夫人と話していたものの、演出やエキストラの確保、予算、町やスタッフなどの経験不足など難問山積みで断念せざるをおえなかったのだ。それを能登が天災の深刻な被害から立ち上がろうとするタイミングで上演することは、仲代氏なりの復興への挑戦であったのかもしれない。

期待と不安が入り混じる中、幕を開けた第4回ロングラン公演「マクベス」。結果的には市内外から約3万3千人を誘客。地域に賑わいと社会的、経済的波及効果をもたらし、能登演劇堂の認知にさらなる大きな役割を果たした。福島県南相馬市の相馬野馬追中ノ郷騎馬隊が外舞台を駆け巡り、毎回50人のエキストラが兵士役で登場する豪華な戦闘シーンは、世界広しといえど能登でしか見られないマクベスを象徴する圧巻の一幕だった。

鳴り止まない拍手とともに幕を下ろした「マクベス」で、仲代氏がエキストラに贈った言葉にこんな一節がある。

「此のマクベスチームに参加して下さった皆様を、共演者として、又、芝居作りの同志として、連帯の気持ちで一杯です。」

感激し涙する参加者たち。しかし仲代氏の目には、エキストラの向こうに助け合い支え合って明日に向かって生きる七尾市民の姿が見えていたに違いない。演劇は着実に地域の力になっていた。

今秋、待ちに待った第5回ロングラン公演「ロミオとジュリエット」が開幕する。プロと市民が協力して作り上げる公演が今度は地域にどんな物語を派生させるのか。舞台内外での出会いや盛り上がりに期待せずにはいられない。

お問い合わせ

所属課室:企画振興部広報広聴課

〒926-8611石川県七尾市袖ケ江町イ部25番地

電話番号:0767-53-8423

ファクス番号:0767-52-0374

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