タイトル:七尾里山里海百景

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概要

七尾湾を中心とした豊富な資源から漁師町としても栄え、また能登らしい固有の農業文化も育み守られてきた、七尾市の里山里海の百の景色を紹介する電子ブックです。

77食七尾里山里海百景065おうこくのとななおすし王国能登七尾五感で楽しむ、寿司の王国「天然のいけす」と呼ばれる七尾湾、富山湾に面した七尾市では、古くから定置網漁が盛んである。そのため、サぶりヨリ、能登本マグロ、イカ類、寒鰤、なまこなど、四季を通じ、多種多様な魚介類が水揚げされる。また、昭和天皇が和倉温泉にご宿泊なされた際、「おかわり」とおっしゃったほどに美味いと言われるアカニシガイや、近年養殖が進むトリガイ、牡蠣などの貝類、さらにはシャコ、エビなどの甲殻類も多くとれる。湾から港までの距離が1?2kmと近いため、朝、漁獲された魚介が、昼には店舗に並ぶというのも、七尾ならではである。そんな魚介類を使った握りや海鮮ちらし寿司を、地元の寿司屋のカウンターで食すのは、港町の粋な楽しみ方である。七尾市観光協会では、七尾市を「すし王国能登七尾」と称し、市内の寿司屋の連携を図り、「能登前寿司(能登で水揚げされた魚介と能登産の米を使った寿司)」のブランド化、県内外に向けた情報発信などの取り組みを進めている。地元の寿司屋へのルールとしては、「能登のネタにこだわるべし」「新鮮なネタにこだわるべし」「旬のネタにこだわるべし」「能登の米を使うべし」「能登七尾の言葉で熱く語るべし」「おもてなしの心を重んずるべし」「すし王国能登七尾を担うプライドを持つべし」を掲げ、品質の安定も提唱している。「すし王国能登七尾」では、芸術品のような寿司を出す店、一貫から楽しめる店、気軽な回転寿司店など、それぞれの個店に特性があり、違いが楽しめるのもおもしろい。塩だけで食べるなど、ネタが新鮮に手に入る地だからこその味わいも興味深い。七尾で寿司を食べてはじめて生魚が食べられるようになったという人も少なくないとか。間違いないのは、どこの店のネタも新鮮で、どこの店も五感を楽しませる寿司を提供しているということだ。新鮮で美しく輝くネタに視覚を満たされ、口に運ぶと、シャリ、ネタ、醤油、すべての味わいに、味覚が喜ぶのがわかる。港町に漂う潮の香りのなか、寿司へのこだわりや魚に関して語る大将の七尾弁は、耳に心地よく、さらに大将や地元の方の、さりげなくも行き届いたおもてなしの心は、あたたかなぬくもりを伝えてくれるのである。参考文献―ホームページ『すし王国能登七尾』(七尾市観光協会)『北陸中日新聞』(北陸中日新聞社)「Spot&Place」各店舗、季節によって異なるネタが楽しめる新鮮で美しい魚介類と、丁寧に握られた寿司