タイトル:七尾里山里海百景

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概要

七尾湾を中心とした豊富な資源から漁師町としても栄え、また能登らしい固有の農業文化も育み守られてきた、七尾市の里山里海の百の景色を紹介する電子ブックです。

61食七尾里山里海百景049ながまし・いがらまんじゅう祭りや祝いの席に珍重される、素朴な味わいの餅菓子七尾には、祝いの席に欠かせない伝統的な菓子がいくつかある。その一つ、さかみすけえもん「ながまし」は、酒見助右衛門という人物が、龍門寺の宝形型と云われる本堂を、大けやき一本を使った魚寄せといわれる工法で建立したことを祝い、作られたと言われる菓子である。青柏祭の時期になると、和菓子屋やスーパー、さらにはコンビニエンスストアにも並ぶほど、地元民にとっての定番の菓子である。また、花嫁のお披露目には、華やかなお重(輪島塗五段重など)に入れた「ながまし」を配る。あるいは結婚式の引出物や内祝いには紅白箱に詰めて贈られている。味はいわゆる普通の餅まんじゅうだが、大福餅を両手でひっぱったような、長細い菱形と楕円の間のような形が特徴である。表面の片方の端に、赤や青(緑)に染めた米の炒り粉が塗られている。かつては後述のように何種類もの色が用意されていたが、現在は赤、青(緑)色の2種類である。この「ながまし」には、青柏祭の由来と関係した伝説がいくつか残っている。一つは、さるがみ猿神が求めた若い娘の代わりに、赤、白、紫、青(緑)色の餅を供えると騒ぎがおさまったというものである。そのため、「ながまし」のにえ形は生け贄の女性器をかたど象ったものだと言われている。もう一つは、人々に危害を加える猿神を退治したと言われる「シュケン=酒見氏」がはじめて売り出した菓子だという伝説が残っている。一方、「いがらまんじゅう」は、加賀藩で考案されたとされる五色生菓子の一種であり、栗の「イガ」に見立てて作られた石川県特有のまんじゅうである。この菓子もやはり祝いの席に好まれるものであり、青柏祭にちなんだ菓子の一つでもある。石川県全土で食べられるが、輪島や金沢では、餅の色が、黄色である。稲穂が黄色くなった時に食されるため、黄色だという話もあるが、色づいた栗を表した黄色が主流となったというのが定説である。しかし、七尾周辺では、餅の色が緑色である。なぜ七尾だけが緑色になったのかは不明だが、青柏祭の時期、つまり、栗が青づく頃に食されるためだと言われている。栗の「イガ」を表現し、もち皮にのせたもち米とあんこの、素朴な味わいが人気である。七尾では、「いがらまんじゅう」がなまり、「えんがらまんじゅう」と呼ばれることもある。えがら縁起をかついで縁賀良まんじゅうと書くこともある。参考文献―ホームページ『七尾特産品協会』「ながまし」『株式会社花月』「ながまし」『能登の国の菓子処萬寿堂』餅の皮が緑の「いがらまんじゅう」。米粒が「イガ」を表している青(緑)と赤のながまし