タイトル:七尾里山里海百景

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概要

七尾湾を中心とした豊富な資源から漁師町としても栄え、また能登らしい固有の農業文化も育み守られてきた、七尾市の里山里海の百の景色を紹介する電子ブックです。

食七尾里山里海百景04860ま祭つりごっつぉ祭りの「ヨバレ」には欠かせない、人をもてなす旬の味能登では古くから、祭りの際、遠方の親戚や日ごろお世話になっている人、友人たちを自宅に招き、ごちそうでもてなす風習がある。「ヨバレ」である。もともと祭りに招かれることを「呼ばれる」と言っていたが、それがいつしか「ヨバレ」となったと考えられている。七尾でもその風習は、広く行われている。祭礼の日は集落の家々の玄関や窓が開け放たれ、多くの人が出入りする賑やかな宴会が繰り広げられる。そんな「ヨバレ」の席で出される料理が「祭りごっつぉ」である。「ごっつぉ」とは「ごちそう」の意味で、「祭りごっつぉ」には、その季節の旬のものがふんだんに使われる。七尾における「祭りごっつぉ」といえば、青柏祭で食べられる「でか山ごっつぉ」である。献立の代表格は、「煮しめ」と「ハチメ(メバル)」である。「煮しめ」は、季節のたけのことふき、人参、こんにゃく、しいたけ、いんげん、焼き豆腐という組み合わせが一般的である。各材料を単品で煮ることが望ましく、前日から仕込むことが多い。調味料の具合により、各家庭の味は微妙に異なる。また、「ハチメ(メバル)」は、七尾湾でとれる祝い魚で、祭りの日やめでたい席で塩焼きや刺身で出されることが多い。さらに、青柏祭独特の料理もある。出汁と卵としょうが汁を寒天で固めたゼリー状の料理「べろべろ」と、おめでたい紅白のかまぼこに果物がついた「こぶた」というセットが提供される。「こぶた」には、いちごがのっていることが多い。「こぶた」は七尾流のオードブルのようなものである。このように地元の旬の食材を美味しく、食べやすく気軽に食べてもらおうという気遣いが感じられるのが、「祭りごっつぉ」なのである。参考文献―書籍『新修七尾市史13民俗編』(七尾市)「町の民俗」P 290-303―ホームページ『能登スタイル』「旬のレシピ集」青柏祭でもてなされる「でか山ごっつぉ」旬の食材をふんだんに使った煮しめ「べろべろ」と七尾流のオードブル「こぶた」