タイトル:七尾里山里海百景

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概要

七尾湾を中心とした豊富な資源から漁師町としても栄え、また能登らしい固有の農業文化も育み守られてきた、七尾市の里山里海の百の景色を紹介する電子ブックです。

17祭礼七尾里山里海百景012のとじまこうだひまつり能登島向田の火祭住民が作り上げる、島の夏の夜を彩る祭り動画へ7月の最終土曜日に能登島向田町で行われる火祭りは、日本三大火祭りの1つと言われる祭礼である。伝説では、いやひこのかみこの祭りの前後、越後の伊夜比古神いやひめのかみ(男神)が訪れ、伊夜比咩神(女神)とおうせ1年に一度の逢瀬を楽しむと言われている。松明は高さ約30m、重さは約10tの巨大なものである。芯になるのはオオしんぼくギと呼ばれるご神木で、上に青竹を接ごへいぎ足し、先端に御幣を差し、さらに、オオギの周りにはシバ約800束を、稲わらで編んだ大縄でくくりつけて作られる。シバは1束が約15?あり、向田町の約120世帯はそれぞれシバ7束を用意するという決まりがある。シバ以外にも各世帯で用意しなければいけないものは多く、準備は大変だという。準備は一ヶ月ほど前から始まるが、子どもから大人まで、年齢ごとに集団ほうとうが作られ、奉燈を洗ったり、手松明を作ったり、藁を集めたりとそれぞれの役割分担が決まっている。また、祭り当日は、各家庭の女性たちが、ごちそうを用意して人々をもてなす。当日は、あたいりが暗くなると、伊やひめじんじゃみ夜比咩神社から神こ輿しや大小の奉燈が担ぎ出され、奉燈の上では打ち鳴らされた太鼓の音色に合わせ、道中を行きつ戻りつ、練り進む。お旅所に着くと、広場に設置された巨大な大松明の周りを、奉燈が時計回りに7周まわる。その後、周りにいる地元の人や見物客に、竹と麦わらで作られた手松明が渡される。手松明には、神ごじんか輿についた提灯の御神火から点火される。それぞれが、手に持った松明を振りながら大松明を周回する。場の熱気が最高潮に達すると、団長の掛け声とともに手松明を投げ込み、大柱明に火が点火される。松明が山側に倒れると豊作、海側に倒れると豊漁になると言われ、大松明の先につけられている御幣を取ったもえんめいそくさいのは延命息災が叶うとも言われる。大松明が倒れると同時に、男衆がまだ燃えている大松明から、芯となるオオギと、松明を放射状に支えるサシドラと呼ばれる松の木を、威勢のいい掛け声とともに引きずり出す。ここも一つの見どころである。県指定無形民俗文化財参考文献―書籍『能登島町史資料編第二巻』(能登島町)「島の信仰伝承-神と仏の信仰-」P 956-961場所伊夜比咩神社/七尾市能登島向田町115-26地図へオオギとサシドラを引き抜く男衆点火された大松明手松明を持って大松明の周りをまわる参加者